「鉄道の父の故郷」だが地味、山口ご当地鉄道事情 1日3往復のミニ支線あればSLが活躍する路線も

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と、そんな山口の鉄道も、歴史的にはなかなか見逃せない役割を担ってきた。

たとえば山陰本線の仙崎支線は戦後の引揚者の輸送で八面六臂の活躍を見せたし、下関駅は門司はもとより関釜航路とも接続する大陸連絡のターミナル。下関駅に隣接していた山陽ホテルは、鉄道直営ホテルの先駆けだ。また、宇部線や小野田線といった海沿いのローカル線は、県内の工業の発展を支えた礎でもあった。

ならばなぜ、維新の元勲たちを輩出しながら鉄道の整備が遅れたのか。地元の人たちが強く望めば、政府で要職にある長州人たちに鉄道建設を願い出ることもできただろう。

先人たちに思いを馳せてみたくなる

が、きっと長州人はそんな我田引鉄を許さなかったのではないか。いくら長州の生まれでも、ひとたび国を背負う立場になったら我がふるさとは後回し。それくらいの気概がなければ、明治の日本を率いることができなかったに違いない。

そう考えたとき、明治維新の震源地たる長州、山口の鉄道がいささか他県に比べて見劣りしてしまうのも、かえって愛おしく思えてくるではないか。

むろん、いまでは明治維新も長州の志士も何もないご時世。それでも、山口を訪れたなら、そうした先人たちに思いを馳せながらローカル線の旅を楽しんでみたいものである。

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鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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