「インフラ更新が心配」な街ランキング・東海編 ほとんどの自治体で更新費用が膨らむ結果に

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大半の自治体の管理計画では、劣化が進む前に修繕する予防保全を導入したり、大規模修繕により耐用年数を延ばしたりする「長寿命化対策」でコストを削減する方針を掲げている。上記の数字は、その長寿命化対策を反映していないことを申し添えておく(耐用年数経過時に単純更新したものと想定)。

ただし、その長寿命化対策を反映したとしても、なお8割を超える自治体が現在の更新費用をオーバーする計算となった。

増減率1位は「岐阜県で最も人口が少ない市」

今回の「更新費用が急増する自治体ランキング・東海編」でも、増減率のスコアがとりわけ高くなった自治体にフォーカスして、個別の管理計画を見てみよう。

① 岐阜県美濃市(増減率:409.7%)

岐阜県の中央部に位置する美濃市。市域の約8割を山林が占め、人口は1.9万人(2024年4月時点)と同県内の市では最も少ない。2040年の将来人口は1.4万人にまで減少すると推計される(国立社会保障・人口問題研究所)。

同市の管理計画(2021年改訂)によると、インフラの修繕・改修に要する更新費用(投資的経費)の過去5年の平均額は11.6億円。対して、今後見込まれる更新費用は年42.3億円。両者の数字に人口動態を加味して算出された増減率は409.7%と、現状の5倍以上に増加する結果となった。長寿命化対策を講じたとしても、年38.0億円(増減率358.7%)と高いスコアとなる。

② 愛知県蒲郡市(増減率:346.8%)

愛知県の東三河地方、三河湾に面する蒲郡市。リゾート施設やテーマパーク、4つの温泉街を有する観光都市だ。

同市の管理計画(2022年3月改訂)によると、現在の投資的経費は19.8億円。対して、今後見込まれる更新費用は年77.9億円。同様に人口減少分を反映した増減率は346.8%となった。

ただ、この数字は普通会計のみであり、公営企業会計に属する上下水道の更新費用は含まれていない。八潮市での道路陥没事故も下水管の破損に起因すると推察されており、住民の関心は高いはず。上下水道も含めたトータルでの更新費用の見込みを知りたいところだ。

一方で、増減率が低くなった自治体の管理計画にも目を向けてみよう。

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