鴻蒙智行の協業の枠組みでは、スマートカーの企画・設計から販売・アフターサービスまでの主導権をファーウェイが握る。そのうえで、ファーウェイが開発した(自動運転システム、スマートコクピット、電動アクスルなどの)部品やソフトウェアをほぼフルセットで採用している。

それだけに、今回の提携は上汽集団にとって非常に重要な(戦略転換の)決断だった。というのも、同社は中国最大の国有自動車メーカーとして、スマートカー開発における自社の主導権にこだわってきたからだ。
「単一のサプライヤーから(スマートカーの)部品供給をフルセットで受け入れる考えはない」。4年前の2021年6月、当時の上汽集団の董事長(会長に相当)だった陳虹氏は、公の場でそう発言していた。
過去1年で急激に業績悪化
だが、その後の数年間で中国自動車市場の環境は激変した。新車販売に占めるEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)の比率が急速に高まる中、エンジン車が主力の外資系メーカーと合弁を組む上汽集団は苦戦。その結果、2024年には国内販売首位の座を民営大手のBYD(比亜迪)に明け渡した。
上汽集団が開示した2024年通期の業績見通しによれば、一時損益などを除いた調整後純損益は41億~60億元(約846億~1239億円)の赤字に転落する。2023年の調整後純損益は100億4400万元(約2074億円)の黒字であり、過去1年間の業績悪化が急激だったことがうかがえる。

中国市場では今、クルマの差別化の焦点が「電動化」から「スマート化」に移りつつある。上汽集団は中国の自動運転スタートアップのMomenta(モメンタ)に出資しており、傘下の智己汽車(IMモーターズ)のクルマにはMomenta製の先進運転支援システム(ADAS)を搭載している。
しかし智己汽車の販売は好調とは言いがたい。そんな中、上汽集団は厳しい現状を打開するために(自主開発路線へのこだわりを捨てて)ファーウェイ陣営への参加を決断した可能性が高い。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2月21日
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