史上初、JR・路面電車「車両デザイン交換」なぜ実現 広島「新駅ビル」だけではない深いストーリー
そして、2つの車両が完成した。市川さんから見たレッドウィングデザインの5100形は、「こういう列車が普通に走っていてもおかしくないようなデザイン」だという。「違和感がないですよね。ヨーロッパでもこんな路面電車が走っていますね、みたいな」。
齋藤さんから見たグリーンムーバーマックスデザインの227系は、「ずば抜けて目立ちます」。ホームに立つ客から「これ乗っていいの?」というリアクションもあるという。
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赤と緑に込められた意味
大森さんにとって、自らデザインしたレッドウィングのデザインは思い入れが深い。導入経緯を振り返ると、広島地区の老朽化した近郊型・通勤型車両の置き換えとして、京阪神エリアの「新快速」などで活躍していた225系をベースに開発した車両を2015年に導入することになった。
デザインは新快速を踏襲せず広島地区のオリジナルにする。大森さんにとって広島といえばプロ野球チーム「広島東洋カープ」のイメージ。カープが地域に愛され育ってきた歴史も知っていた。だからこそ、カープのように地域に愛される鉄道にしたいという願いを込めて、カープのシンボルカラーである赤を車両デザインに採用した。
また、227系は先頭部どうしを連結することがあるが、中間車どうしの連結よりも隙間が大きくなり、ホーム上の乗客が連結部の隙間から転落する危険があるので、先頭部両側に転落防止ホロが付けられている。見た目は悪いが、それを逆手に取った。ホロを翼に見立てて、「正面からみると鳥が翼を広げているように見える」(大森さん)。ホロを赤く塗ってレッドウィング(赤い翼)と名付けたのだ。デザインの厄介者も工夫次第では列車の愛称になるほどの主役になる。
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