EV「テスラ」人気と販売台数がつるべ落としな理由 年間販売台数は初の前年割れ、マスク氏のアンチも
ヨーロッパの重要市場での販売落ち込みは、米国と違ってフランスやスペイン、ドイツのように歴史の傷跡が今も残る国では、国粋主義的発言で支持を伸ばす政党への肩入れが必ずしも売り込みにならない現実を見せつけた。
しかも、マスク氏は「言論の自由」を掲げてTwitterをXに転換させながら、同時に政府効率化省(DOGE)トップとして大幅な予算削減を推進し、リベラル派の多くが守りたい機関を標的に据える。
幻滅したテスラ車のオーナーは工夫を凝らしている。ハンドメイド商品販売サイトのEtsyでは、「I Bought This Before We Knew Elon Was Crazy(これを買ったのはイーロンがクレイジーだと分かる前)」「Anti-Elon Tesla Club(反イーロン・テスラ・クラブ)」などのバンパーステッカーがトレンドに浮上し、それぞれ何千枚も売れている。かつて熱狂的ファンだったオーナーは、今、テスラに乗ることは、仲間内で「MAGAハットを着けてハンドルを握るような気分」とWIREDに打ち明けた。
競合は絶好調!テスラは「時代遅れ」に
EV市場は変化しており、テスラはかつてのようにかけ離れた存在ではなくなった。ボルボのEX30は飛ぶように売れ、中国BYDの存在感は550%増大。フォルクスワーゲンのEV販売は20%増を記録した。ヨーロッパ市場でテスラのシェアは縮小を続け、ヨーロッパでの販売台数は前年比50.4%減となった。
さらに悪いことに、内部関係者によれば、テスラの製品ラインナップは時代遅れになりつつある。競合他社が最先端機能搭載の洗練された新モデルを次々に登場させる中で、テスラは2021年のModel Y以来、ヨーロッパで新車を売り出していない。自動車産業ストラテジストのフィリップ・ノサード氏が言うように、テスラ車は「似たり寄ったりに見える」。
フランス、ドイツ、イギリス以外でも、ヨーロッパ全体でこの傾向は続く。EV専門メディアのElectrekによると、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーではテスラの登録台数が40%以上も減少。スペインの減少は75%と最も大きかった。