「伊藤詩織映画」なぜ日本と海外で反応が違うのか 知らされていない事実とアカデミー賞候補入りの評価ポイント

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彼と一緒に監督を務めるのは、パレスチナ側の真実を追求しようとするイスラエルの記者ユヴァル・アブラハーム。彼らが目の前でとらえていく、ずっとそこに住んできた身近な人たちがイスラエル軍から受ける理不尽な仕打ちの数々は、見ていて本当に辛い。

これらも実にパワフルで、ここまで残ってきた価値がある作品だ。そんな中でも、ここまでは、『ノー・アザー・ランド』のオスカー受賞を予測する声が強かった。

しかし、アメリカやヨーロッパにおいては、イスラエル対パレスチナの問題を身近なことに感じている人が多く、どちらかの側についている人が多いというのも事実。映画のクオリティに関係なく反感を持つ人が一定数いるかもしれないのは、不利になりえる。

ウクライナを描いた作品も

その意味で逆に強いのではと筆者が思っているのは、『Porcelain War』だ。ロシアによるウクライナの攻撃を、戦争が起きてからもウクライナに住み続け、武器を持って戦うようになったアーティストたちの視点から語るのが、この映画。この戦争でロシアの味方をする人は、まずいない。映像は、それらのアーティストが現地で撮影したもので、日常のディテール、不安、揺れ動く心理がリアルに描かれている。

昨年のこの部門の受賞作も、ロシアの攻撃が始まったばかりのウクライナを映し出す『マリウポリの20日間』だったので、もし『Porcelain War』が受賞すれば2年連続ウクライナ戦争の映画ということになる。

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