それでも「日経平均5万円」が十分到達可能な理由 トランプ関税も日本の大きな痛手にはならない
――その動機であらゆる政策のフレームワークがつくられていると。
やっていることは徹底的な規制緩和と既得権益排除だ。新しい技術の導入・普及にとって最大の障害となるのが規制や既得権益。これを国全体で取っ払って最先端の技術を装備すれば、企業の生産性は高まり、経済成長率が高まる可能性がある。それをやろうとしているのがトランプ氏の、いわば「リバタリアニズム革命」だ。
これは非常に大きな株高要因だ。従って、このトランプ氏の本意が見えてきて、それなりにうまくいきそうだという見通しが出てくれば、アメリカの株はさらに上昇する余地が十分ある。
――日本株もそれを追いかける形で上昇すれば、例えば日経平均で5万円という水準は今年達成できる可能性があるでしょうか。
私はありうると思う。2024年は前半の7カ月で、日経平均が27%上がっている。今のレベルがざっくり4万円だとして、25%上がれば5万円だ。昨年の経験を踏まえれば、到達しても不思議ではない水準といえる。
国内は足元、政治・政策面の不安があって株価も上がりづらい状況にあるが、その不安がちょっとでも解消されれば、するするっと到達してしまいかねないレベル、これが5万円だと思う。
「トランプ関税」のベースにあるもの
――「トランプ2.0」については、関税政策の日本へのマイナス影響も懸念されています。
トランプ大統領の関税政策はまだ全体像が見えてこない。ただ、大きな視点でとらえるなら、トランプ氏は現在の国際政治秩序、国際経済秩序が機能していないとみていると思う。そして私は、そのベーシックな部分は正しいと思っている。
なぜなら、まず国連が機能していないからだ。常任理事国がよその国を侵略するような、めちゃくちゃなことまで起きている。また、GATT(関税貿易に関する一般協定)やWTO(世界貿易機関)の秩序もまったく機能していない。ここに中国を招き入れたことにより、結果として世界の工業生産の4割近くを中国が押さえ、ものすごい支配力を持たせてしまった。
とすれば、ルールによって規制できない国々がさらに肥大化し、世界は望ましくない支配者の力を強めることになる。それを避けたいというのは、民主主義諸国共通の願いであり、トランプ氏もそのような考えをベースに持っていると思う。
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