美人キャスター自死を政争に使う韓国政界の非情 イジメ抑止の本質がぼやけては本末転倒だ
「MBCは進歩系なこともあり、現政権を激しく批判してきた。野党にとっては心強い味方ともいえる。そのMBCでこうした問題が起きたため、野党はなるべく事を大きくしたくないというのが本音だろう」
野党「共に民主党」は、大統領直属の機関「放送通信委員会」の委員長をこれまで4回、任命されるたびに弾劾訴追を繰り返してきた。1月に憲法裁判所で却下され職場に復帰した現在の委員長は、任命された翌日に弾劾訴追されている。弾劾事由はMBC絡みだった。
与党「国民の力」が提案している「オ・ヨアンナ法」は、これまで「労働基準法」の対象者である勤労者に含まれていなかったフリーランサーやプラットフォーム従事者も対象とすること、そして申告条件を引き下げるというものだ。
従来の「職場のイジメ禁止法」では、職場での地位・関係性などを利用したか否か、業務上の適正範囲を超えたか否か、そして身体的・精神的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたかどうか、という3つの条件を満たした場合、申告が可能だとされた。
これに対して改正案は、重大なイジメが一度でもあれば申告できるようにする。ただ、もともとの禁止法も基準が曖昧で、さらに重大なイジメがどのような場合なのか規定することは難しく、さっそく実効性へ疑問の声があがっている。
法律施行後も職場内でのイジメは増加
とはいえ、2019年に「職場のイジメ禁止法」が施行されてから、雇用労働省へのイジメの申告件数は増える一方。施行時の2130件から昨年は1万2253件と、約5倍に増えている。
禁止法には特別な処罰条項はなく、起訴され訴訟に至ったのは昨年までで189件。ほとんどが民事事件だった。直属の部下に「俺の話を聞け、こいつ」と声を荒らげたことで損害賠償訴訟となった役員もいたが、無罪となっており、状況や動機、関係性などにより判断が複雑だといわれている。
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