美人キャスター自死を政争に使う韓国政界の非情 イジメ抑止の本質がぼやけては本末転倒だ
オさんがMBCに気象キャスターとして入社したのは2021年5月。ソウル芸術大学在学中からテレビ業界で働きたいと考えていたようで、在学中にはアイドルグループ「TWICE」などが所属する大手音楽事務所「JYP」のオーディションに合格し、一時はK-POPアイドルの練習生をしていたという。
韓国の気象キャスターは気象を専門に伝えるアナウンサーで、ほとんどが女性だ。正社員ではなく、フリーランサーとして雇用されており、局の各ニュース番組に登場する。
オさんへのイジメが始まったのは、入社から1年後の2022年春だという。きっかけは、先輩キャスターの代打で入ったオさんをそのままニュース担当に抜擢した上司が異動になったことだった。
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オさんは家族に「背骨が折れるようにつらくて、腸がちぎれるみたいにしんどい」と職場のつらさを訴えており、家族は病院に入院させようとした。だが、「放送はやらなきゃいけない。広告も契約しているので撮らないと。大丈夫」と、そのときは話していたという(『時事ジャーナル』2025年2月15日)。
MBCに対してオさんはイジメについて申告したが、調査は行われなかったとされる。毎日新聞の報道が出た後の1月末、同社は真相調査委員会を設置したが、遺族はソウル中央地裁に対し、遺書にあったイジメの加害者とされる1人を相手に損害賠償訴訟を起こしている。
労働問題に敏感な野党の動きが鈍い理由
メディアに続々とオ・ヨアンナさんのイジメの実態が伝えられ、大きな話題になると、最初に動いたのは与党「国民の力」だった。2月初めには、国会の環境労働委員会でMBCへの聴聞会開催と、「職場のイジメ禁止法」の改正を行うことを野党「共に民主党」に要請した。
2019年7月から施行された同法は、「共に民主党」政権だったときに「勤労基準法」に加えられた条項だ。労働問題は同党がいち早く動き、法改正を進めるのが通例だが、今回は聴聞会は必要なしとするなど、反応が鈍い。中道系紙記者は言う。
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