中国AI「DeepSeek」、究極の後追い戦略の破壊力 世界最先端に匹敵する性能を低コストで実現

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中国のAI開発企業は、アメリカ政府の制裁のために最先端のコンピューティング能力へのアクセスが制限されている。

しかしDeepSeekは、そのような制約下でも中国企業が世界最先端のAIモデルに(短期間かつ低コストで)キャッチアップできることを証明した。その事実が、アメリカのAI業界における「DeepSeekショック」のインパクトを増幅している。

推論能力を高めた「DeepSeek-R1」の性能は、オープンAIの「o1」に肩を並べる。グラフはDeepSeekが公表したベンチマークテスト結果(同社の公式SNSアカウントより)

ところが意外にも、中国のAI業界ではDeepSeekのトレーニングコストに対する驚きの声はあまり聞かれない。

「先行モデルと同等の能力を持つ後発モデルのトレーニングは、試行錯誤を繰り返した先行者よりもコストが低いのは当然だ」。財新記者の取材に応じた生成AI開発企業のエンジニアは、そうコメントした。

制約下で「最適化」を競う

このエンジニアによれば、DeepSeekを含む中国のAI開発企業は、コンピューティング能力や開発資金の不足、競合他社との激しい競争などの厳しい制約に直面している。そんな中、各社はオープンAIなどの(海外の)先行者が開拓した技術路線の後追いに特化し、プログラムやアルゴリズムの最適化に全力を注ぐ戦略を競っている。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

もちろん、後追いだけでは先行者を超えるブレークスルーは期待できない。だが同等の性能なら、先行者より少なくとも1桁低いコストで達成するのが(中国のAI業界では)当たり前だという。

別のAI開発企業の創業者は、後追い戦略の有効性について次のように述べた。

「最初にブレークスルーを果たす先行者のコストは莫大だが、後追い組は(先行者の)1%のコストで90%の成果を上げるケースもある。これは(AI業界で)繰り返し検証されている事実だ」

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は1月26日

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