今回も内部通報制度の不備が問われることになりそうだ。タレント中居正広氏の女性トラブルはフジテレビだけでなく親会社のフジ・メディア・ホールディングスのガバナンス問題となりつつある。
過去、上場企業のガバナンス関連で問題が起こると「内部通報制度の充実」が改善策として挙げられることが多かった。同社のホームページにあるコンプライアンスの記載には、「グループ内部通報制度の充実化」という文言はあるが、具体的な取り組み内容は見当たらない。過去に問題が起きた企業がそうであったように内部通報制度が適切に機能していなかった可能性がある。
内部通報制度が機能しているかどうかを判断する指標として注目されているのが、各社の内部通報件数の開示だ。東洋経済新報社が毎年行っているCSR調査でも内部通報窓口や件数について聞いている(フジ・メディア・ホールディングスは未回答)。今回は調査データをまとめている『CSR企業覧(ESG編)』2025年版掲載1715社のうち2023年度の相談等を含む内部通報件数を回答・開示している783社を対象に件数の上位100社をランキングした。
日産自動車が4年連続で1位
1位は4年連続で日産自動車となった。件数はグローバルベースで2424件と前年2078件から300件以上増加している。連結従業員数100人当たりの件数は1.8件。内部通報が機能している目安を通報可能人数100人当たり1件に置いているが、この基準を大きく上回る通報しやすい環境が整っている。
同社はチーフサステナビリティオフィサーを置き、サステナビリティー全般を管轄する。内部通報などガバナンスはもちろん会社全体の持続可能性を幅広く把握した企業活動を行っている。コンプライアンスイベント等における従業員のコミュニケーションや従事者教育にも力を入れる。
女性活躍も進んでいる。女性管理職比率10.7%、女性部長比率9.0%など自動車会社の中では圧倒的で、ダイバーシティ面で業界をリードしてきた。
ただ業績面は他社から一歩遅れている。2022年3月期からの3期連続営業黒字も3年平均の営業利益率は3.7%。同時期のトヨタ自動車9.6%、ホンダ5.8%と比べると大きく下回っている。さらに2025年3月期は利益が急減。ホンダとの経営統合の検討も進む。
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