「家電のない」ソニーは今、どんな会社なのか エンタメとEV進出がばかり注目されるが…

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スマホやテレビなどのいわゆる「家電」をメインに紹介することは、ほぼなくなってきた。昨年まではPlayStation 5とその販売台数などをアピールするシーンがあったが、今年はそれもない。「メカ」的な意味でいえばソニー・ホンダモビリティが2026年に発売を予定しているバッテリーEV「AFEELA 1」の予約開始が公表されたくらいだろうか。

長く時間を割いたのは「コンテンツ」だ。『鬼滅の刃』をはじめとした日本のアニメに加え、ゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』のアニメ化、『ホライゾン ゼロ ドーン』『ヘルダイバー2』の映画化など、アニメと映画の話が多く語られた。

過去に映画の話が中心になることはあったが、今年は明確にアニメが軸である。日本側を代表する「アニプレックス」(ソニー・ミュージックエンタテインメント子会社)と、世界配信の窓口である「Crunchyroll」双方のトップが壇上に並び、現在制作中の作品やその影響などについて語った。

アニプレックスの代表取締役・岩上敦宏氏(左)とCrunchyrollのラフール・プリニCEOが並んで壇上に(筆者撮影)

このようなことから、報道は2つのパターンに分かれた。AFEELA 1を中心に「自動車参入いよいよ本格化」という視点のものと、「ソニーグループはコンテンツ企業であることをアピールした」というものだ。どちらも間違ってはない。しかし、筆者はもう少し補足が必要と考える。特に後者だ。

訴求されたのはすべて「複数事業をまたぐビジネス」

今回、ソニーグループがアピールしたものには1つの共通項がある。

それは「グループ内の複数の事業が関連している」ということだ。

前出のように、アニプレックスとアメリカのCrunchyrollの連携。さらにそこにゲーム事業も絡む。映画が話題になる時も、映画事業単体のものではなく「PlayStationから産まれた作品」であり、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのゲームスタジオ部門である「PlayStation Studios」原作のものだ。

過去にCESで映画やアニメがアピールされた際は「作品単体」であることが多かった。しかし、今回はあくまで「ソニーグループとしての連携」した作品としてアピールされている。

この方針はコンテンツだけにとどまらない。AFEELA 1にはCrunchyrollをはじめとした、さまざまなエンターテインメントコンテンツを楽しむ機能が搭載される。それは「AFEELA 1の中でエンターテインメントを楽しめる」という事実を示すだけではない。EVという製品とサービスの連携により、ソニーグループやほかの企業とつながるという要素が強化されていくことを示している。

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