茶道や武道、瞑想で「心が整う」とはどういう事か 科学的に裏付けられた健康効果が存在している

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自然界は、放置していると無秩序になるという法則があります。打ち水という行為は、この自然の傾向に対して意識的に秩序を取り戻す試みとも解釈できます。

物理的に環境を清浄にし、視覚的にもすっきりとさせることで、私たちの内面も同時に整理されていくのです。これは、外界と内面が密接に情報レベルで結びついているという東洋的な世界観とも一致します。

打ち水の効果は五感を通じて体験できます。

具体的には、打ち水をする際の水しぶきの音、湿った土の香り、涼やかな空気の感触など、五感を通じて得られる感覚が、私たちの脳内で快適さや清浄さという情報に変換されます。この情報処理過程を通じて、心身のバランスが整えられていくのです。

・視覚:水が地面に染みこむ様子を見る
・嗅覚:湿った土の香りを嗅ぐ
・聴覚:水しぶきの音を聴く
・触覚:水滴や涼しい空気を肌で感じる

現代の神経科学の知見からも、環境からの刺激が脳内の神経回路を活性化し、ストレス軽減やリラックス効果をもたらすことがわかっています。打ち水のような伝統的習慣は、このような科学的メカニズムを経験的に活用してきたといえるでしょう。

さらに、打ち水という行為自体が持つ、儀式的な側面も重要です。

決まった作法や道具を用いて行うこの行為は、日常から一歩離れた特別な時間と空間を創出します。この「非日常」が、心身をリセットし、新たな気持ちで日常に戻る準備を整えます。

このように日本文化に組み込まれたさまざまな習慣や所作は、自然環境と調和をはかって、無意識のうちに心身のバランスを整える知恵を内包しています。これらの知見は、現代科学の視点からも、心身の健康を維持するための有効な手段として再評価され、応用されつつあります。

内面に注意を向けるだけで心身が整う

現代社会では、絶え間なく流れる情報の洪水の中で生きることを余儀なくされています。だからこそ、いかに情報を整理し、心身の健康を保つかは、多くの人々にとって切実な課題となっています。

この課題に対処するための有効な手段として注目を集めているのが、「マインドフルネス瞑想」です。私の知人の経営者でも、多くの方が何かしらのかたちで瞑想を取り入れています。

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