絶滅危惧船「ホーバークラフト」大分で復活の理由 定期運航は世界で1カ所のみの"爆音"珍乗り物
いわばホーバークラフトは「船・飛行機・バスの良いとこどり」な存在といえるだろう。
なお、2024年12月現在、大分県以外でホーバークラフトが定期就航しているのはイギリス・ポーツマスとワイト島間のみ。なぜ2カ所目が大分県なのか。その事情を探ってみよう。
不便すぎる大分空港
大分県にホーバークラフトが就航した目的、それは「空港への所要時間短縮」だ。
大分空港はもともと市街地の近く(現在の大洲総合運動公園)にあったものの、移転候補地での反対運動もあり、県都・大分市から60km以上も離れた場所への移転を余儀なくされた。
空港への連絡バスは到着まで1時間以上もかかるうえに、九州横断道・大分空港道のインターチェンジに到着するまでの渋滞で、場合によっては「予定していた飛行機に乗れない」ような事態も、しばしば起きるという。
しかし、大分市と大分空港の間にある別府湾を横切れば、直線距離にして30km程度での移動が可能。また、大分空港は海上の埋立地にあり、ターミナルビルまでの船の発着が容易にできる。
かつ、コンクリートの専用走行路(スリップウェイ)を経由して、空港のチェックインカウンターの至近距離まで運んでくれる。ここで「陸上だと遠回り、海上ならショートカット」「クルマ並みに速い」ホーバークラフトの導入に至ったのだ。
大分県は他県と比べて鉄道の使い勝手がいま一つで、もよりの新幹線駅(山陽新幹線・小倉駅)からは大分駅は100km以上も離れ、特急列車で1時間20分以上もかかる。かつ、首都圏からは800km、大阪からは400kmも離れており、遠方からの移動はほぼ飛行機一択だ。
しかし、肝心の玄関口である大分空港へのアクセスに、難がありすぎる。かつ九州の他空港は「電車で市街地まで数分」(福岡・宮崎)、「連絡バスで30分圏内」(佐賀・北九州)などアクセスが良い空港も多く、九州全体で年間300万人前後いて今後も増加が見込まれるインバウンド観光客を、大分県だけが取り逃しかねない。
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