"自分軸"で考える、今年こそ「後悔しない生き方」 改めて問いかけたい「人生で何が最も大切?」
しかし、こんなやり方では問題が解決するどころか、状況が悪化する一方だった。それだけでなく、彼は新規のベンチャー事業を育成しながら、退職した2人分の仕事を抱え込んでバタバタしていた。
さらに、出席しなければならない会議がいくつもあり、大事な作業の時間を奪っていた。おまけに、毎晩、職場で片づけられなかった仕事を家に持ち帰って処理していたので、家族と過ごす貴重な時間が少なくなっていた。ストレスで疲れ果ててフラストレーションがたまっていたのは当然だ。
私の助言は「何から始めるかを選択する」というごく単純なものだった。そこで彼にこう言った。
「あなたのto-doリストの中で、やり遂げなければ後悔のもとになる項目をひとつ選んでください」
「では、残りの項目はどうするのですか?」と彼は尋ねた。
「残りの項目を忘れるようなことはないでしょう」と私は答えた。
「しばらくの間、最も集中しなければならないことを見つけるだけです。現時点での問題は、リストの項目が多すぎて、どこから始めていいかわかっていないことです」
彼は私のアドバイスに完全に納得したわけではなかったが、受信メールの処理から実行に移すことにした。
当初の目標は、週に2回、1時間ずつメール処理をして1カ月にたまる未読メールを半分に減らすことだった。ところが、いざやってみると、最初の1カ月で未読メールを70パーセント減らし、翌月には85パーセントも減らすことができた。
受信メールの処理が効率的にできるようになったので、リストの次の項目により多くの時間をかけられるようになった。こうしてまもなく、いつもバタバタして課題を終えられずに後悔するパターンから自分を解放することができた。
多くのことを下手にするより、ひとつのことを上手にするほうがいい。to-do リストに取り組むときは、全項目を一気に片づけようとしてはいけない。リストのどの項目が最も満足感を与え、投資した時間に対する見返りを最大にするかを考えよう。
最も優先順位の高いものを選び、そこから始めよう。
●あなたの現在のto-doリストはどんな状況か?
●出発点を選ぶとすると、どの項目を選ぶか、そしてその理由は何か?
いちばん大切なことを優先する
人生ではさまざまなことを交互にしなければならない。まるで曲芸のお手玉のようだが、空中に投げるボールが多すぎると落とす恐れがある。
数年前、仕事で遠方に出張していたために、子どもたちの始業式に出席できなかったことがある。それまで毎年、当日の朝、子どもたちと一緒に早起きをして朝食の準備をし、前庭で記念撮影をしていた。かなり前からカレンダーにしるしをつけていたのだが、クライアントとの打ち合わせの日程を変更できなかったのだ。
子育てをしながら働いていると、子どもの特別な行事に必ず出席することは至難のわざである。しかし、私は「どんなことがあっても、始業式には絶対に出席する」と心の中で誓いを立てていた。
それだけに、「今回は出席できない」と子どもたちに伝えるのはたいへんつらかった。そして、子どもたちをがっかりさせたのは残念だったが、それ以上に自分に対する誓いを守れなかったことのほうがもっと残念だった。
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