谷桃子バレエ団の密着動画「賛否の嵐」とその先 "ガチの密着"で映像ディレクターも自問自答
動画を見て何かを感じてもらえたからこそコメントが来る。それが応援コメントの場合もあるし、心配の声であることもあれば、若干批判的な意見が来ることもある。
どう受け取るかは、人それぞれだ。まず興味を持ってもらえているという事実がありがたく、喜ぶべきことだなと僕は考えていた。
ネガティブコメントに動揺するバレエ団
しかし、バレエ団側は違った。
次々と来るネガティブコメントに動揺を隠せずにいた。
実際には応援が9割で、ネガティブな意見は1割ほどなのだが、人間はどうしたってその1割に目が向いてしまう。バレエ団が動揺するのも無理はない。そもそも、動画の内容自体が彼らにとっては予想外のものだった。
踊りや作品のこだわりにではなく、お金にフォーカスした動画。ここまで生々しい裏側を描くとは思っていなかった。それでも僕を信じて、動画の制作を任せてくれた。
しかし、動画の配信が始まってみると「これ本当に大丈夫?」「バレエ団急にどうしちゃったの?」と心配の声が寄せられる。自分達のやっていることは正しいのか。そんな葛藤が生まれる。
客観的に見ていると「なぜバレエ団はそんなにネガティブになるのか?」と思う人もいるかもしれない。当時は僕もそう思っていた。
しかし、こうなってしまうのは当然といえば当然だった。伝統のある芸術を自分達の手で壊してしまうのではないか。今までやってきたことをすべて棒に振る結果になるのではないか。積み上げてきた年月が長いからこそ、不安も大きい。
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