ダイドー、「トルコで大躍進」の知られざる戦略 現地ブランド品が絶好調、背景には中東問題も
一方、国内の飲料事業は第3四半期時点で低迷している。
売上高は前年同期比4%減の1131億円、営業利益は同62%減の18億円と落ち込んだ。不調の主な要因は、昨年11月に実施した自動販売機の値上げだ。自販機商品の販売数量は前年同期比マイナス8%超と想定以上の客離れが続いている。

ダイドーの国内飲料事業は、販売数量の8割以上が自販機の売り上げ(2024年1月期実績)だ。客離れによるインパクトは大きかった。
数量の落ち込みを受け、今年8月には缶コーヒー2品の自販機推奨価格を20円値下げし、120円に設定した。こうした機動的な価格コントロールは、間に小売店を挟まない自販機だからこそ実行しやすい。ダイドーならではの取り組みといえる。
尖った商品開発も重視する。今夏はフリスクのタブレットをイメージした世界初の炭酸飲料「フリスクスパークリング」、今秋はコメ入りの缶スープ飲料「鯛茶漬け風スープ」を発売。他社にはないユニークな商品を通じて数量回復を狙う構えだ。
海外はニッチ市場の開拓に勝ち筋
国内の回復に尽力するダイドーだが、中長期的にみれば、人口減少で国内市場の縮小は必至。成長のためには海外で稼ぐ力が求められる。
中東における特需が終わった後も、海外事業の規模を安定的に拡大させられるかがカギとなる。ただし、欧州や北米、東南アジア、オセアニアへはすでに日系大手メーカーが進出しており、入り込む余地は小さい。
そこでダイドーは、現地に工場や販路を持つニッチ市場の開拓を急ぐ。今年2月にはポーランドの飲料会社を買収。同国は飲料市場が拡大しており、業績は好調だ。リラ安が続くトルコなどから、ズロチ高のポーランドへ一部原料を輸出し、コスト抑制も実現している。
ライバルが少なく市場が拡大している地域を開拓し、コスト面のシナジーを生み出せるか。自販機中心のユニークなビジネスモデルで成長してきたダイドーだけに、海外も独自の戦略に将来的な勝ち筋がありそうだ。
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