ダイドー、「トルコで大躍進」の知られざる戦略 現地ブランド品が絶好調、背景には中東問題も

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なぜトルコがこんなに伸びているのか。好調の要因について、ダイドーグループホールディングスの髙松富也社長はこう説明する。「中東情勢の悪化を発端として、トルコのナショナルブランドである当社の現地商品への需要が高まっている」。

トルコの飲料市場は、アメリカの飲料大手コカ・コーラやペプシコなどグローバルメーカーが大きなシェアを持つ。だが、中東情勢を背景に、昨年10月頃からアメリカ企業の商品の不買運動が発生。飲料で特に大きな影響を受けたのがコーラだった。トルコでグローバルブランドのコーラの売り上げは大幅に減少している。

そんな中でシェアを伸ばしたのが、ダイドーのトルコ子会社が製造販売する現地ブランド「コーラ トゥルカ」。トルコ国民にとってはなじみ深い自国生まれのブランドで、受注が急増している。

トルコで多数のナショナル・ブランド品を製造・販売する。左から炭酸飲料「チャムリジャ」、コーラ「コーラ トゥルカ」、現地の水ブランド「サカ」(写真:ダイドー)

需要増加に応えられる体制を整えた

特需だけが急成長の理由ではない。現地では生産効率化も進む。通貨のリラ安や原料コストの高騰を受け、ダイドーは近年、トルコ事業の原価率改善を目的に生産・物流面の効率化に力を入れてきた。

仕入先の見直しによるコスト抑制、増産の実施などで供給体制を整え、急拡大する需要に対応している。

商品単価の向上も利益に大きく貢献している。トルコで続くハイパーインフレを受け、ダイドーは年に複数回の値上げを実施。飲料の平均販売単価は1年で2倍近くまで上がっている。

にもかかわらず、ミネラルウォーター「サカ」や炭酸飲料「チャムリジャ」など、コーラ以外の商品も数量拡大が続いた。その結果、数量も今上期に前年同期比で2倍以上を売り上げ、値上げも相まって収益性が急改善している。

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