元テレ東・佐久間宣行への「人生相談本」が相次ぐ訳 地に足ついた"仕事術"が評価される納得理由

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著書の中で彼が一貫して伝えてきたのは、「メンタルをすり減らさず、楽しくはたらく」ための仕事との向き合い方である。市場や環境の変化が激しい現代、メンタル面の悩みや不安を誰しもが抱えている。そんな中で、メンタルヘルスの専門書とはまた違う、“はたらく人の目線に立ったメンタルの悩み解消法”を教えてくれるのが佐久間の本ならではの魅力である。

最新刊『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』にも、メンタルの悩みに関する章がある。「失敗が不安で眠れません」という質問に対して、佐久間はこのように答えた。

“だから本当に眠れない日が続くなら、「心療内科に行って睡眠薬をもらうといいよ」くらいの会話は、僕の周りでは普通に交わされている。”
“若いうちは自分に期待しがちだけれど、歳を取ると「人が持っている弱さって大人になって直るものじゃない」とわかってくる。メンタルが弱い人は強くならないし、プレッシャーを感じやすい人はずっと感じやすいし、繊細な人は繊細なままだし、根本的な特徴は変わらない。”
出典:『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』佐久間宣行、ダイヤモンド社

このアドバイスには、自身も元々ネガティブで、心身を壊さない仕事との付き合い方を模索してきたという佐久間ならではの実感が見える。彼の仕事術は、企画書の作り方や組織での立ち回り方と同じように、仕事に向き合うメンタル面の知恵と工夫を教えてくれる。だからこそ、悩み多き時代を生きるビジネスパーソンに刺さるのである。

あの大御所にも絶賛される魅力

佐久間の仕事論が机上の空論ではないことは、メディアでの振る舞いを見ていてもよくわかる。その1つとして取り上げたいのが、著書の中で度々重要性を語っている「仕事相手のメンツをつぶさない」気遣いである。

ちなみに補足すると、メンツをつぶさない=媚びやご機嫌取りを意味するものではない。それは自分が仕事をするにあたって障壁を作らないための“戦略”の1つで、他者への敬意を示すものでもあると彼は語っている。

そんな主張を体現していると感じたのは、先月、和田アキ子がパーソナリティを務めるラジオ『ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回』に佐久間がゲスト出演したときのこと。トークが弾んだ中盤、和田から「(私の)何が怖いですか?」と、セルフイメージに関する直球の質問が飛び出し、場は笑いに包まれた。

この質問に対して佐久間は「芸能界の大御所は、ほぼ全員、どこが地雷かわからないのが怖い」「(和田は芸人ではないので)どこまで踏み込んでいいかわからないから、結果(周りが)緊張しているように見える」と冷静に分析。これに和田は納得の反応を示していた。

このやり取りで感じたのは、佐久間の伝え方の繊細さである。彼は、回答の主語をピンポイントに「“和田さんは”どこが地雷かわからない」と指さず、「“芸能界の大御所は全般的に”どこが地雷かわからない」と表現し、ニュアンスをややズラしているのだ。

些細なことかもしれないが、これによって個人名を指すよりも指摘が和らいで聞こえる。まさに、佐久間流の「相手のメンツをつぶさない」コミュニケーション術だと感じた。

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