「虫が大量発生のゴミ屋敷」少女が1人で暮らす理由 尋常じゃない数のゴキブリ・クモの中に取り残されていた

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とはいえ、「悪影響はない」とは言い切れない。イーブイが京都に住むシングルマザーの家庭から依頼を受けて片付けをしたときのことだ。

小学校に通う子どもが母親にベッタリだった。甘えるというより、依存していると言ってもよかった。その要因は、家がゴミ屋敷になっていることにあったという。

子ども同士は気にしていないものの、同級生の親が「あの家はゴミ屋敷だから」と気にしていた。それによって、子どもが学校で孤立状態に陥っていたのだ。

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離婚後、8年ぶりに家に入って驚いたという母親。娘の荷物を仕分ける(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

小学生のまま、時が止まった娘の部屋

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ただ、今回の現場に関しては「悪影響か否か」判断しかねるレベルからは逸脱している。2Kのうち1つの部屋はリビング兼父の寝室。もう1つの部屋を娘が使っていたが、「娘さんの部屋はどこか様子が変だった」と文直氏が話す。

「娘さんは17~18歳だったと思うのですが、ベッドや机、使っているモノ、身につけている服が、何もかも小学生の持つようなものだったんです。普通、成長とともに好みが変わったり、使うモノも大人っぽくなったりするじゃないですか。でも、そういうのが一切ないんです。小学生の部屋に17~18歳が暮らしているので、違和感を覚えました」

ゴミ屋敷
時が止まったかのような娘の持ち物にも、ゴキブリの糞がこびりついていた(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

ずっとゴキブリと共存するような生活が続き、そこに“慣れ”まで生じていたのであれば、父親が娘にモノを買い与える余裕もなければ、娘自身も「自分の好み」といったものを意識する心理状態にもなれなかったのかもしれない。

現場に入ったスタッフは全部で6人。片付け開始からわずか1時間で、部屋は跡形もなく空になった。

「娘を連れて九州の実家に戻ります」(母親)

現在、母と子は大阪を後にし、九州地方で新たな生活を始めている。ゴキブリが1万匹出ようと、部屋で人が亡くなったわけでもない。おそらく大家によるリフォームを経て、何事もなかったかのように別の誰かが住んでいるはずだ。

ゴミ屋敷
ゴミや虫が一掃されたキッチン(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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少女のいた部屋もきれいに片付いた。これで前を向けるだろうか(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
【写真】「天井からゴキブリやクモが落ちてくる…」少女が1人きりで暮らしていた“過酷すぎるゴミ屋敷”(21枚)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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