徹底解説「米国が再びトランプを選んだ」深い理由 日本の繁栄を支えた国際秩序を変える「革命」だ
それに伴って今、20世紀型のアメリカにもしかしたら根本的な変化が起きるかもしれない。
20世紀型のアメリカとは何かというと、1つはニューディール(フランクリン・ルーズベルト政権下で行われた恐慌対策)を通して1930年代に大きく変貌した。同時に2度目の世界大戦にぶつかっていくことによって、世界最大の産業国家として、経済国家として、その力をフルに活用して、世界の秩序を支える仕組みをつくってきた。
このリベラルインターナショナルオーダー(自由で開かれた国際秩序)のもとで日本も繁栄してきたわけです。多くの国が、アメリカが主導してつくったこの仕組みの中で動いてきたわけですが、それを作り出し、支えるアメリカが今までとは違う形になってきますから、国際秩序そのものも変わっていくというふうに考えるべきでしょう。
それを端的に示すのが「アメリカファースト」という言葉だと考えたらどうでしょうか。
トランプは「媒介」の役割を果たしている
——日本人が自明のものとして受け入れている国際秩序が、まさに今大きく変えられようとしている。これはもう本当に日本人にとってもひとごとでない。それだけアメリカで起きている革命的なことを理解しなきゃいけないということだと思います。なぜ、トランプというかなり破天荒な人物がこの革命のシンボルになったのでしょうか。
「なぜこんな人が」と皆さんはさかんに言うんですけれども、一種偶然性みたいなところがあって、あるタイミングで彼が登場してそれがぴったり時流にはまった。彼はビークル(媒介、伝達手段)の役割を果たしていて、そこに人々の期待が乗せられている。
彼自身は別に自分で新しいことを考えたわけではない。(1992年、1996年の大統領選に立候補した)パット・ブキャナンが実質的には1990年ごろからアメリカファーストの主張をしていて、今トランプが言っていることは、ほとんど彼が言っていることをコピーしているわけですね。
彼の中にきっと時流にはまるんじゃないかという直感があったんだと思いますけれども、彼はメディア人としてテレビ番組に出ていたわけで、そういうキャラクターとしての感覚で成功したということですね。
だから、トランプそのものが力を持っているということではなくて、彼がある局面の中で人々の期待、怒り、悲しみ、革命のもとになるような、そういう大きな人々の感情のかたまり、そういうものをうまく乗せる役割を担うことになってしまったということですね。
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