トランプ返り咲きで金や原油価格はどうなるのか 長期金利は一段と上昇する懸念が出てきた
さて、トランプ氏の大統領への返り咲きは、今後のアメリカ経済や市場にとってどのような意味を持つだろうか。すでにS&P500種指数などアメリカの主要株価指数は軒並み史上最高値を更新、ビットコインなどの暗号資産もやはり史上最高値をつけているが、今回はコモディティ(商品)市場に焦点を絞って、今後の動向を考えてみたい。
「レッドスイープ」なら、長期金利は一段と上昇の懸念
コモディティ市場の方向性を考えるうえでは、やはり長期金利の動向から目をそらすことができない。その点においては、ハリス、トランプ氏のどちらが大統領選挙に勝利するのかよりも、政権と議会が異なった政党になるという、所謂ねじれ現象が起こらなかいことに大きな意味がありそうだ。
仮に下院も共和党が過半数を維持するなら、大統領と上下院議会とも共和党が制する「レッドスイープ」(トリプルレッド)が実現する。この場合、トランプ氏が自らの政策を強力に推進することが容易になってくる。大規模な減税政策を維持、あるいは拡大することによって、現在すでに危機的な状況に向かっていると警告されているアメリカの財政赤字がさらに拡大するリスクが高くなり、長期金利の一段の上昇をもたらす懸念が大きい。
こうした長期金利の上昇は、コモディティ市場にとっては大きな売り材料である。それがドル高の進行を伴うときはなおさらだ。とりわけ金(GOLD)や銀などの市場にとっては、目先大きな売り材料となる可能性が高い。すでに「トランプ氏大統領選勝利」が確定的になった現地時間6日前後からは金や銀の価格が大きく調整している。
これまでは地政学上のリスクも含め、先行きの不透明感が安全資産としての金に対する需要を高めるという側面もあった。だが、レッドスイープならば、不透明感も急速に後退してくることになるだろう。金利の上昇やドル高の進行という大きな売り材料に加え、安全資産としての需要期待も弱まり、金市場が大きな調整局面を迎えることは避けられないのではないか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら