独身で養子迎えた韓国人の彼女が語る率直な理由 結婚は当たり前なのに養子縁組は特別視に疑問
その翌年、わたしは手術を受けた。摘出した筋腫は直径10センチをはるかに超えていたらしい。どうりでおなかが出ていたわけだ。術後はウエストがすっきりして、体重も数キロ減った。
手術前の浣腸に戸惑ったり、術後にはじめて食事をしたときは激しい嘔吐に見舞われたりもしたけれど、病院のベッドでゴロゴロしながら久しぶりに数日間ゆっくり過ごした。のんびり小説を読んで、スマホでドラマを視聴し、病院の屋上でぼんやり夕日を眺めたり、軽い散歩を楽しんだりした。
体調が整うとすぐに養子縁組の準備にとりかかった。もっとも知名度の高い養子縁組機関を訪れて相談を申し込み、養子縁組と育児に関する本を十数冊買った。
2010年に長女を、2013年に次女を養子に迎えた。2人の子どもと養子縁組をしたことは、わたしの人生で最もすてきな選択だった。
週末に子どもたちとゲラゲラ笑いながらおしゃべりをして、やるべきことを一つも終えられなかった夕方、ふと今がわたしの人生でいちばん幸せな瞬間かもしれないと思ったりもする。
迎えたのは生後3カ月の赤ちゃん
生後3カ月だというその赤ちゃんは、わたしを見るやいなやにこにこ笑いながらよだれを垂らした。はじめて見た相手にどうしてこんなに心を許せるんだろう? 赤ちゃんは抱っこされてもまったく嫌がらず、わたしの顔をじっと見ながら笑った。人懐っこい子だなと思った。
まもなくしてこの子を正式に引き取ったわたしは、養子縁組機関を出るやいなや町内の住民センターに直行した。赤ちゃんを誰にも奪われないように、出生届を出すためだ。養子縁組機関で教えてもらった誕生日を記入して出生届を出し、提出遅延の罰金を支払った。
当時の韓国ではこんなふうに養親が養子に迎えた子どもの出生届を出すケースが一般的だった。この2年後の2012年に養子縁組特例法が改正施行され、現在は生みの親によって出生届が提出されていない子どもと養子縁組をすることはできない。(*1)
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