全国1万拠点のLUUP、成長のカギを握る"対策" イメージ悪化を防ぐ取り締まり強化で事業拡大へ
サービス開始から4年。LUUPの車両の貸出・返却場所となるポートは、全国1万箇所にまで成長した。このうち、約半数が東京に集中する。都内では大手コンビニ3社の全店舗数を上回るポート数を展開している恰好で、他社を圧倒している。
同社はなぜここまでポートを拡大できたのか。強みについて岡井氏は2つの特徴を挙げた。
1つは独自開発の予約システムだ。「目的地を必ず予約しなければいけない機能を、世界のシェアサイクル企業の中で唯一持っています」と岡井氏。LUUPのシステムでは乗車時に目的地のポートに空きがあるか確認してから乗車する仕組みとなっているが、これにより各ポートの収容台数を厳密に管理できる。既存のシェアサイクルでは10台と決められた場所に20~30台が集中することもあるが、同社のシステムではそうした問題を防げるのだ。
さらに、ポートの多さ自体が新規設置の追い風となっている。岡井氏は「例えば北参道駅のような場所のコンペがあるとき、シェアサイクル事業者が複数手を挙げても、基本的に弊社が選ばれます。渋谷方面に行きたい入居者のために、マンションやオフィスのオーナーは、そのエリアにポートを持つ弊社を選びます」と説明する。
興味深いのは、ポート数の増加が利用頻度の向上にもつながっている点だ。「当初は『ステーション数が増えると一台あたりの利用が減るのでは』という懸念もありました。しかし実際は、自宅の近くにもオフィス近くにもポートがあることで、2回だった利用が毎日の利用に変わるなど、むしろ頻度は上がっています」(同氏)。
根強いマナー問題への厳格な姿勢
一方で急速な普及に伴う課題も浮き彫りになってきた。SNSでは歩道走行や危険な運転を指摘する声も少なくない。
「実は、ルールを守って利用している方々から『マナーの悪い人のせいで全体のイメージが悪くなる』という声を多くいただきます」と岡井氏。今回のCMキャラクターに起用された二宮和也も「4~5台の真面目な利用者の中に1台、悪目立ちしている人がいる印象」と指摘する。
同社は対策として、利用開始時の本人確認や交通ルールテストの全問正解を義務付けている。全車両にGPSを搭載し、不適切な駐車も監視。対人・対物・自損の保険も完備する。
電動キックボードが特定小型原動機付自転車として免許不要で乗れるようになったことで、新規ユーザーの裾野は大きく広がった。事業拡大フェーズに入った今、岡井氏は「より厳格な運営が必要」と判断。違反者への対応も強化する方針だ。「軽微な違反であっても、警察と連携してユーザーを特定し、必要に応じてアカウントの凍結も実施していく」と強調した。
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