あの「ストゼロ」がいつの間にか大変化していた リニューアルでビジュアル一新、度数4%も発売
それがここに来て、まさかのリニューアルと4%の出現である。この背景にはやはり、世間の健康意識の変化が大きく関係していると考えられるだろう。
2月19日には厚生労働省が「500mlのビール缶程度のアルコール摂取でも、大腸がんの発症リスクが高まる」などとガイドラインを発表。「今さら何を言っているんだ?」と思うかもしれないが、「酒は百薬の長」と言われた時代は、もはや過去のものとなったのだ。
実際、アルコール度数が高い飲み物の支持は、ここ数年でグッと減っている。調査会社インテージによると、缶チューハイ市場でアルコール度数8%以上のストロング系の商品のシェア(占有率)は、2017年に金額ベースで43%だった。それが、2023年には25%程度に低下してしまったという。
ようやく、ストロング系はシャレにならない危険な飲み物として、世論とメーカーが自発的に取り締まるようになったのだ……というのは筆者の邪推だが、かつて愛飲していた身としては、寂しさも感じるものである。
ストゼロを捨てたサントリーのホームページを見る限り、-196無糖シリーズは人気で、1〜6月の販売数量は対前年254%と極めて好調に推移したという。2023年にはまだ同シリーズは存在していないため、これがストゼロのことを指すのであれば、もう世間はストロング系を求めなくなったということだ。
確かに、コンビニに並んでいる缶チューハイのほとんどは9%のストゼロと氷結以外、3〜7%程度だ。健康診断で「γ-GTP 2410(通常は40〜60)」を叩き出した筆者だけではなく、いよいよみんな身体を壊し始めたのだろうか?
今後も目が離せないRTD市場
今、人気のアサヒの「未来のレモンサワー」もアルコール度数は5%で、9月に発売されたキリンの「華よい」と宝酒造の「発酵蒸留サワー」も3%しかない。
このような現状を鑑みてサントリーはストゼロの存在を隠しながら……と言うと語弊があるかもしれないが、結果的についてしまった良くないイメージを薄めながら、度数も下げていくことにしたということかもしれない。
それに海外にも輸出されているが、アジア圏では「Strong Zero」という名称でもいいものの、欧米圏では「強い虚無」のような意味合いになってしまう。だからこそ、-196というわかりやすい数字を名称にしたのかもしれない。まさか、発売当初はストゼロを海外で売るとは思ってもいなかっただろうが……。
しかし、とどまるところを知らない物価高、下がり続ける実質賃金、そして先の見えないこの国の未来。この状態に憂いても酒に逃げられないというのであれば、2014年にストゼロが流行する前に問題視された危険ドラッグのように、この世にはさらに人をダメにするものはたくさんある。
ストロング系が淘汰された先に広がるのは果たしてユートピアか、それとも別の依存性の高い「なにか」がはびこるディストピアか……。今後もRTD市場から目を離せない。
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