時計愛好家を「5大ブランド」が魅了し続ける訳 歴史と伝統に技術があわさった奥深き世界

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これまでに紹介した3ブランドは、ジュネーブとパリという大都市で生まれた。しかしスイス時計産業の最重要拠点は、実は山間部にある。フランス国境に近いスイス北部エリア「ジュウ溪谷」は、冬の農閑期にジュネーブの時計ブランドのためにパーツの製造を行っていた。

そこから才能ある職人たちが独立したことで、ジュウ渓谷には多くの時計ブランドが生まれた。そのためジュウ渓谷は「ウォッチ・バレー(時計の谷)」とも呼ばれている。

前例に縛られない、攻める名門「オーデマ ピゲ」

そんなジュウ渓谷の小さな街ル・ブラッシュの時計製造の家系に生まれたジュール=ルイ・オーデマとその友人であるエドワール=オーギュスト・ピゲが、1875年に立ち上げたのがオーデマ ピゲだ。

オーデマ ピゲは、1892年に腕時計史上初のミニッツリピーターを発表し、1986年には世界初の自動巻き式トゥールビヨンウォッチを発表。また音響の専門家と協力して、美しい音を豊かに響かせるチャイム機構「スーパーソヌリ」を2016年に発表するなど、独自性の高い複雑機構の開発を進めてきた。

さらには1972年に世界初のラグジュアリースポーツウォッチ「ロイヤル オーク」を生み出し、2019年には立体構造ケースの「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」を発表するなど、攻めのウォッチメイキングを行っている。

ロイヤル オーク オートマティック
「ロイヤル オーク オートマティック」は、1972年のオリジナルモデルに用いられた「ナイトブルー、クラウド50」というダイヤルカラーを採用しており、今も人気を博している。自動巻き、SSケース、ケース径41㎜。¥4,125,000(写真:オーデマ ピゲ)

歴史ある時計ブランドでありながら、哲学がぶれることなくことなく前進できるのは、現在も創業者一族が経営に携わっているからだ。しかしその一方で、積極的に外部の意見を取り入れ、今年の1月に就任した新CEOは一般消費財企業でキャリアを重ねたイラリア・レスタ。初の女性CEOがこの名門をどう進化させるのか……。そういう観点でも注目されている。

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