年差±5秒で次世代へ羽ばたく「ザ・シチズン」 100年の革新を続ける、国産時計ブランドの矜持
シチズンを「100年企業」たらしめる技術開発力
大戦景気による経済成長と物価の急騰が同時進行し、米騒動などの社会不安が巻き起こった1918年、シチズン時計の前身である「尚工舎時計研究所」は設立された。その数年後に発生した戦後恐慌や関東大震災という混乱を乗り越え、今や日本有数の100年企業に成長した背景には優れた技術開発力がある。
国産初の製品としては、耐震装置付き時計(1956年)や完全防水時計(59年)、電子時計(66年)などがあり、世界初のチタニウム製腕時計(70年)やアナログ式太陽電池時計(76年)、アナログ式エコ・ドライブ衛星電波時計(2011年)といった製品を生み出してきた。(いずれもシチズン時計調べ)
今回発売される新作にも、そうした技術力が集約されている。基幹技術として搭載する「光発電 エコ・ドライブ」だ。
光を電気に換える仕組みで、充電後は暗闇でも1.5年(パワーセーブ作動時) 駆動するという省エネ設計を実現。定期的な電池交換が要らないのも魅力だ。さらには、年差±5秒という優れた高精度を実現している。
スーツスタイルにも間違いない
きらりと光るさりげない個性
ワークライフバランスや新しい働き方に注目が集まる現在、業務生産性を向上させるタイムマネジメントの重要性は高まる一方だ。つねに正確な時刻を指し示す「ザ・シチズン」は、そうした高い意識を持って仕事に取り組むビジネスパーソンにとって、頼れる指標になる。
シチズンが誇るスーパーチタニウムTMを採用。独自の表面硬化技術デュラテクトにより、ステンレスの約2分の1の軽さと、5倍以上の硬さでキズに強く、軽く、肌にやさしく、サビにくいという特徴を備える。このほかにも、2100年2月28日までうるう年などの月末カレンダー修正が不要な「パーペチュアルカレンダー」や強い衝撃などによる針ズレを防ぐ「衝撃検知機能」など、フラッグシップブランドにふさわしい先進技術が搭載されている。
技術と品質を求める姿勢は、部品から完成品まで一貫して自社製造することができる、世界でも数少ないマニファクチュールであることにも表れている。この新モデルも、長野県飯田市にある南信州高級時計工房に在籍する専任のマイスターによって丁寧に組み立てられている。
独創的な文字板が、
大人の遊び心あるスタイルにも合う
100年にわたって躍進してきた理由は、ほかにもある。シチズンの名に込められた思いこそが、その理由の1つだ。技術先行で独り善がりな製品を作るのではなく、「永く広く市民に愛されるものづくり」を貫いてきた。
時計は時刻を知るのみならず、精神的な満足感を得たり自身のアイデンティティを確立することなども時計に求められる大切な役目といえる。ビジネスパーソンにとっては幅広いシーンに対応できるオーセンティックなスタイルや、姿勢を正してくれるような品格を備えているのもいい。そうしたユーザーの声を聞き、ザ・シチズンの新モデルは“高級機”と呼ぶにふさわしい仕上がりを見せている。
クラス感が求められるスーツスタイルに適しているだけでなく、イーグルの羽模様を描いたフェイスデザインには大人の遊び心や独創性が秘められており、スマートカジュアルの装いにもマッチ。幅広いコーディネートに合わせやすいのも利点だ。
ケースとバンドはザラツ研磨とヘアライン仕上げを組み合わせ、多層的に表現。シンプルなバーインデックスは見る角度によって慎ましい輝きを放つ。鋭いドーフィン針は指し示す位置が明確で、正しい時刻を素早く読み取ることが可能だ。
そして最大の特徴が、複雑な模様を描いた文字板にある。ブランドを象徴するイーグルの羽根模様を成型パターンで表現したもので、光を透過するポリカーボネート製ながらメタリックな風合いを実現。有機的な表情と貴金属のような質感が融合し、現代的なエレガンスを醸し出している。38mm径の小ぶりなケースで品よくまとめているのも印象的で、着用感も良好だ。
創業以来、技術革新と市場のニーズに応じた製品開発を継続し、国際的なブランドとして成長したシチズン。その象徴といえるザ・シチズンの最新作は、次の100年を占うポテンシャルに満ちている。
Photo:Eiichi Okuyama
Styling:Mariko Kawada
Model:Kei Aoki