「手のひら返し」批判浴びる石破首相の危うい今後 野党、「代表質問」「党首討論」で"変節"追及へ
併せて、来年国交正常化60周年を迎える韓国とは、アメリカを含め緊密な連携を図る考えを強調。自衛官の処遇改善に向け、自身をトップとする関係閣僚会議の立ち上げを表明した。その一方で、自民党総裁選で掲げたアジア版北大西洋条約機構(NATO)創設や、日米地位協定の改定にはあえて言及しなかった。また、自民党が党是とする憲法改正については、首相在任中の国会発議に触れ、「議論を積極的に深めてほしい」と衆参両院憲法審査会での論議促進を呼び掛けた。
そして、自らの政治信条を盛り込むいわゆる「結び」では、「納得と共感の政治」と題し「私は、議員になる1年前の昭和60(1985)年、渡辺美智雄代議士の、『政治家の仕事は勇気と真心を持って真実を語ることだ』との言葉に大きな感銘を受けた」と思い入れたっぷりに語り出し「爾来(じらい)40年、こうありたいと思い続け、今、この壇上に立っている。政治を信じていただいている国民の皆さまが、決して多くないことを私は承知しているが、政治は国民を信じているのか。『どうせわかってはもらえない、そのうち忘れてしまうだろう』などと思ってはいないか」と自省。
その上で石破首相は、「国民を信じない政治が、国民に信じていただけるわけがない。勇気と真心を持って真実を語り、国民の皆さまの納得と共感を得られる政治を実践することで、政治に対する信頼を取り戻し、日本の未来を守り抜く決意だ」と切々と訴えた。ただ、この「結び」に対しても、野党の野次は一段と激化、「自民党席からの拍手はほぼかき消されるような異様な幕切れ」(自民長老)となった。
「自公過半数割れ」なら政局大混乱も
そこで今後の政治日程をみると、石破首相は9日の解散断行の翌日、ラオスで11日まで開催されるASEAN関連首脳会議に出席。さらに週末以降の連休中には恒例の日本記者クラブ主催の党首討論会をこなして、15日の衆院選公示に臨む。当然、その後は重点選挙区を中心に全国を駆け回って支持を訴え、27日の投開票日を迎えることになる。さらに、11月上旬の召集が見込まれる次期特別国会で改めて首相指名を受け、第2次石破政権を発足させるとの段取りが想定されている。
ただ、「この段取りは、衆院選結果が『自公両党で過半数獲得』(追加公認も含む)が大前提」(自民幹部)となっており、「もし、自民が単独過半数を大きく割りこんだり、自公で過半数割れとなった場合は、首相退陣論も浮上し、政局は大混乱となる」(政治ジャーナリスト)とみられるだけに、石破首相にとって週明け以降投開票日までの3週間は「トップリーダーとして、決死の覚悟で国民に訴え続ける“背水の陣”での戦い」(自民長老)となることは間違いない。
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