
独自の「ライフプランナー」制度で
業界を切り開いてきた実績
小谷●私が「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京系列:以下、WBS)」のメインキャスターになったのが1998年4月です。当時は、生命保険会社の経営破綻が次々と起き、保険会社の経営の健全性についても注目されるようになりました。WBSでは毎日のように、各社のソルベンシーマージン比率(支払余力)を発表していたほどです。外資系生保の本格的な参入もあり、大規模な業界再編が起こりました。
こうした中で、プルデンシャル生命は急成長を遂げてきたというイメージがあります。特に、それまで生命保険の営業と言えば、いわゆる「生保レディ」と呼ばれていた女性外交員が一般的だったところに、男性の営業マンを中心とする組織で保険営業を行うというのは、業界の常識を覆すものでした。
1958年生まれ。関西学院大学経済学部卒業後、外資系製薬メーカーを経て91年プルデンシャル生命保険株式会社にライフプランナーとして入社。2013年、同社の代表取締役社長兼最高経営責任者に就任
一谷●当社は、米国に本拠地のある世界最大級の金融サービス機関であるプルデンシャル・ファイナンシャルの一員として87年10月に設立されました。
小谷さんのご指摘のように、当社は初めから「ライフプランナー」と呼ぶ営業社員によるコンサルティングセールスに力を入れてきました。生命保険は文字どおり、お客様と生涯にわたり向き合い、お客様のニーズを理解して、契約をお預かりするものです。そのためには、生命保険の専門知識を持つプロフェッショナルを育て、お客様一人ひとりにきめ細かく対応する必要があると考えています。
28年前に15人でスタートしましたが、現在は男女合わせて3400人のライフプランナーがいます。生命保険の世帯加入率が世界トップクラスだった日本において26期連続で保有契約件数、保有契約高をともに増やしてきました。大手生保会社に比べると、当社のシェアはまだ小さいですが、少し前から当社と同じようなスタイルで、コンサルティングセールスに力を入れる保険会社も増えてきました。業界に一石を投じたものと、うれしく感じています。
すべてはお客様のために
日本初の「生命保険信託」を開発
小谷● 御社は、ほかにも、前例のない取り組みを進めてきましたね。2010年7月には、信託銀行との業務提携で、いわゆる生命保険信託を日本で初めて共同開発しています。
WBSでもこのニュースを取り上げたことがありますが、改めて、生命保険信託とはどのような仕組みになっているのかご説明ください。
一谷●生命保険信託は、お客様に万一のことがあった場合に、信託会社が死亡保険金を管理し、生前にお客様と契約した内容に従って交付していく信託商品です。
生命保険信託では、お客様は、保険金をいつ、誰に、どのように渡していくかなどを、生前に設定することができます。一般的に、生命保険の受取人は、家族など一定範囲内の親族に限られています。たとえば、受取人を母校にして寄付をするといったことはできません。生命保険信託なら、ご契約者様が亡くなった後、信託会社が死亡保険金による財産を確実に管理・保全することによって、お客様が生前に指定された相手に指定された金額を交付することができます。
1965年生まれ。86年、日本航空入社。90年の退社後、NHK「モーニングワイド」、テレビ朝日「ニュースステーション」等を経て、98年よりテレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」のメインキャスターとして活躍。現在、BSジャパン「日経プラス10」メインキャスターとして出演中
小谷●ライフスタイルが多様化する中で、シングルマザーやシングルファーザーも増えています。未成年の子どもなどを残して自分が亡くなるといったことを考えると、生活資金や学費などを必要なときにきちんと残したいという思いがあるでしょうが、生命保険信託ならそれが実現するわけですね。
一谷●その通りです。当社のライフプランナーがニーズのあるお客様を信託銀行にご紹介し、これまでに約60件のご契約が成立しています。その中には、シングルマザーやシングルファーザーのお客様のほか、障がいのあるお子様をお持ちの親御さん、親御さんの介護をされている独身の方など、多様な方々がいらっしゃいます。このほか、自分が亡くなった後は、お世話になった社会福祉法人や母校に寄付をしたいという方もいらっしゃいます。特に、未成年や障がいのあるお子様の場合は、保険金を受け取った後の財産管理に不安があるという声が聞かれました。生命保険信託を活用いただくことでその不安がなくなり、自分が亡くなった後の保険金の使い方についての「想い」も実現できると、ご評価をいただいています。
小谷●「信託」というと、一定の資産を保有している富裕層の方が、相続などの課題に対応するために利用するのが一般的だと思われます。信託銀行を利用したことがないという人が多いのではないでしょうか。その点で、今回御社が子会社を通じて提供する生命保険信託は手数料も抑えられていますし、信託のハードルを下げるものですね。今はさほど大きな資産がないといった人も含めて、誰でも信託のメリットを活用できそうです。素晴らしいスキームだと思います。
一谷●ありがとうございます。当社としては、このような仕組みが早く社会に広まってほしいと願っています。当社は1992年11月に、余命6カ月以内と判断される場合に、生きているうちに保険金をお支払いする「リビング・ニーズ特約」を日本で初めて開発したのですが、今では世に広く知られるサービスとなりました。生命保険信託についても、多くの生命保険会社が取り扱うようになればいいと思っています。
信託子会社設立で実現する
さらに安心できめ細やかなサービス
小谷●なるほど、とても意義ある取り組みですね。今回、自社で信託子会社を設立する理由はどこにあるのでしょうか。
一谷●生命保険信託の仕組みをより多くの方にご利用いただくことを目的としています。これまで信託銀行の信託代理店として生命保険信託をご案内してきました。しかし、信託銀行では、店舗や営業社員の数などに限りがあります。そこで、信託銀行との提携は維持した上で、新たに設立するプルデンシャル信託株式会社の生命保険信託をお客様にご案内いたします。
当社のライフプランナーも、これまで以上にきめ細かなサービスの提案ができるようになると自負しています。
小谷●生命保険はなかなか見えづらく、特に自分が亡くなってからのことは想像することが難しいですね。今日、一谷社長のお話をうかがって、その課題を解決できる選択肢があることを知り、安心できました。
一谷● 当社の創業者である坂口陽史は、「生命保険は人生最後のloveletter」という言葉が好きでした。我々はそのlove letterに込めた思いを、すべてきちんと形にするためには信託という仕組みが不可欠だと考えました。引き続き、お客様の「想い」をお届けする質の高いサービスの提供に力を入れていきます。
