KPMGジャパンは、日本におけるメンバーファームの総称であり、監査、税務、アドバイザリーの3つの分野にわたる8つのプロフェッショナルファームによって構成されている。KPMGを評して「質の高いサービスを提供するだけでなく、スタッフが生き生きとしている」という声が多い。その背景にはどのような理由があるのか。実際にスタッフにインタビューし、それぞれが感じるKPMGのカルチャーを語ってもらった。
さらにこの7月にあずさ監査法人の理事長に就任した酒井弘行理事長兼KPMGジャパンCEOに、今後のファーム運営の方針と抱負を聞いた。
最先端の知識を持つエキスパートが気軽に教えてくれる
KPMG税理士法人 トランザクション アドバイザリー グループの吉田武志さんは、2011年に入社した。前職は中堅の税理士事務所に勤務していたが「KPMGならば国際的かつ最先端の税務に携わることができると考えました」。
トランザクション アドバイザリー グループ
税理士
そう吉田さんが予想したとおり、現在は新聞に掲載されるような大型M&A案件の税務デューデリジェンスなどにも参加している。
「入社して感じたのは、人材育成制度が充実していることです。入社3年未満の社員を対象にした全社的な研修のほか、それぞれの部署でセミナーやゼミ形式の研修が豊富に用意されています。
講師はベテランの社員が務めることもありますが、いずれも国内を代表するような、専門分野に精通した人ばかりです。KPMGの特徴は、これらのトップランナーの人たちが、何でも気軽に教えてくれることです。一緒に仕事をしたことがない人でも、質問をしに行くと丁寧に説明してくれるなど、知識や情報はみんなで共有しようという雰囲気があります。風通しがよく、業務以外の打ち上げなどもとても盛り上がります。今後、税務にはグローバルな知見が必須になります。当法人には海外の動向に詳しい方が多いので、積極的に相談しながら、私自身の国際的な能力を磨きたいと考えています」
女性が働きやすくやりがいにつながる取り組みも推進
あずさ監査法人 第5事業部マネジャーの位田亜希さんは、金融機関系のシステム会社のSEから公認会計士に転じた経歴を持つ。
第5事業部
マネジャー/公認会計士
位田 亜希
「当法人には、理系出身の人も珍しくありません。多様なバックグラウンドを持つ人たちが、お互いリスペクトしあいながら、チームで質の高いサービスを提供しようとする風土があります」
同法人は早くから、女性職員に配慮した職場環境の整備に取り組んで来たことでも知られる。「産休や育休などの制度も充実しており、実際に、結婚してからも仕事を続けている女性職員がたくさんいます。子育てや介護などのための時短勤務や非常勤勤務などもあり、本人の希望に柔軟に対応できるため、女性にとって、とても働きやすい職場です。
とはいっても、『男性だから、女性だから』という区別はありません。むしろチャンスはまったく平等です。私も2年間、KPMGのアムステルダム事務所に赴任させてもらいました。
私は現在、監査業務のかたわら、事業部内で人材のチーム編成に係る業務にも携わっています。一人ひとりのスキルや希望を配慮しながら最適な配置をするのは容易ではありませんが、本人のやりがいに通じるだけに、とても重要だと感じています。
『あの部署はいいね』とみんなに言われるよう、いい仕組みづくりに貢献したいですね」
KPMGグローバル全体で
質の高いサービス提供に取り組む
KPMGコンサルティング リスクコンサルティンググループマネジャーのプレット・ブレアさんは、米国KPMGとのローテーション制度で2014年に来日した。
リスクコンサルティンググループ
マネジャー
プレット・ブレア
「前職の銀行からKPMGに転職した年に、東日本大震災が起き、日本に来てボランティア活動に参加しました。そのときから日本で仕事をすることに関心を持っていました」
現在は、KPMGコンサルティングのコンサルタントとして、国内外のグローバル企業のリスクマネジメントなどを担当している。
「国や地域が異なっても、複雑かつ困難な課題に直面しながらも情熱を持ってクライアントを支援するKPMGのカルチャーに違いはありません。クライアントに対して、髙い品質のサービスをチーム一丸となって提供しようとする点も同様です。私も、日本に来て、KPMG FASのフォレンジック(不正調査)などのチームと緊密に連携しながら業務を行っています。
ビジネスパーソンとして成長するには、いいメンター(指導者)と巡り会うことが大切だというのが私の持論です。その点で、KPMGはメンターになりうる人材が豊富です。
また日本に来て、KPMGジャパンの誰にコンタクトすれば円滑に仕事が進むかわかりました。私は16年に帰国する予定ですが、それ以後も一緒に仕事をすることが多くなると思いますので、この経験は役に立つと思います」
「ずっとKPMGで働きたい」
という声に応える組織をつくりたい
あずさ監査法人 パートナーの齋尾浩一朗さんは、同法人で会計アドバイザリーに関する業務に携わりながら、KPMGジャパン 統合報告アドバイザリーグループのリーダーも務めている。
AAS事業部
パートナー/公認会計士
齋尾 浩一朗
「最近では、財務情報と非財務情報を統合する情報開示に関心が高まってきています。当法人では、アカウンティング・アドバイザリー・サービスに特化した部門を設けるとともに、KPMGジャパン横断で、きめ細かなサービスを提供しています」
監査法人と言えば、文字どおり監査業務を行うのが主たる業務だ。そこでのアドバイザリーとはどのような仕事なのだろうか。
「企業開示における監査法人の責任が大きくなっています。ただ、企業の最高財務責任者(CFO)や最高経営責任者(CEO)の悩みに応えるには、財務諸表とは別な側面からの支援が不可欠です。当法人でアドバイザリーに従事する人たちは、会計監査の知識や経験を持ちながら、国際会計基準(IFRS)導入支援や経営管理の高度化などについても助言できることがモチベーションにつながっているようです。このようなサービスを通じて様々な機会が与えられているのもKPMGの特色です。今後は、より柔軟なチーム編成ができるように、制度を見直しているところです。『会社や職種は変わっても、ずっとKPMGで働きたい』という声が増えるといいなと思っています」
内容は異なるが、4人のコメントからはいずれも、それぞれの職場で生き生きと活躍する多くのプロフェッショナルの姿がイメージされる。さらにグループ全体で働きやすく魅力的な職場づくりに取り組む姿勢も特筆すべきだ。
さらなる成長を目指す人にとっても、KPMGジャパンはチャンスが多いに違いない。将来、会計士や税理士、コンサルタントを目指す人たちにとっても注目に値する組織だろう。
Top interview
活力ある人材に満ちた組織は、顧客企業の成長の礎となる
社会に信頼を、変革に力を
―7月に理事長に就任されました。率直なお気持ちをお聞かせください。
KPMGジャパン CEO
酒井 弘行
企業の収益力の回復と企業統治のあり方を巡り、日本でもスチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコードが導入されました。これにより我が国の資本市場の健在な成長が期待されているわけですが、一方では残念ながら企業開示における不正事件が絶えない現状があります。そうしたなかで監査業務を通じて資本市場を支える役割を担う私たち、プロフェッショナルファームに対する社会からの期待とともに、私たち自身の使命を強く感じています。その期待にお応えし、責任を全うするために全力をあげないといけないという気持ちでおります。
―グローバルに展開するKPMGグループの一員として、あずさ監査法人が目指す姿とはどのようなものでしょうか。
このたび、KPMGは新しい組織理念「Inspire Confidence, Empower Change」(社会に信頼を、変革に力を)を掲げました。これを実現するために、私たちは「提供するサービスの品質」「KPMGジャパンの総合力」「人材育成」という3つのキーワードに基づく施策を始めています。まず、品質の面では、例えばあずさ監査法人の場合は、IT監査の充実や実証手続きにおけるデータアナリティクス技法の導入などを推進して、会計情報の信頼性を高める取り組みを行っています。と同時に、私たちは高い倫理観を持ち、顧客企業が間違っているときには明確に「ノー」と言って、より適切な方向に導くことができるよう、日々の業務を行っています。
2番目の総合力とは、監査保証業務から税務、アドバイザリー業務など、さまざまなサービスラインを適宜連携させながら、グループが一体となって顧客企業にサービスを提供するということを示しています。
最後の人材育成で重要視していることは、あずさ監査法人とKPMGジャパンの職員全員が誇りを持って働き、キャリアを積むことのできる職場を実現するということです。プロフェッショナルファームにとって唯一の資産は人材であり、人材の成長イコール組織の成長となります。そして、私たちの組織の成長は、顧客企業の持続的成長へと結びつくものです。私たちは教育研修など人材への投資は惜しみなく行っており、最近は海外のKPMGグループとの共同研修などにも力を入れております。
志を共有する人材とともに
―貴法人としては今後どのような人材を求め、どのような組織を目指していくのですか。
端的に申し上げれば、グローバルな視野を持ち、そして与えられた仕事をやり抜く意志と力を持った人材を求めています。私たちは、多様な価値観、多様な人種や国籍がミックスされた組織を通して、顧客企業が求めるグローバルニーズにお応えしていくことができればと考えています。そのために職員の語学教育が必要であれば、その機会は積極的に提供します。直近3年間で海外研修を受けた職員は約900人、国内での語学研修受講者数は約3800人に達する見込みです。一方で海外KPMGグループの職員も積極的に受け入れています。
人口減少時代に入り、日本経済は今、大きな転換点にあります。そのなかにあって私たちは、企業の皆様からもまた職員からも選ばれるプロフェッショナルファームでありたいと考えています。そうした志を共有し、新しい課題に挑戦する意欲を持つ人材とともに、資本市場と社会の発展に貢献してまいります。