もうすぐGDP世界3位になる「大国インド」の実情 ヒンドゥー・ナショナリズムが台頭する背景
2023年の9月に、モディ首相がインドの国名を「バーラト」に変更するというニュースが流れました。日本が国名を「ヤマト」に変更するような感じです。国名や都市の名前が変わることはよくあります。
グルジアがジョージアへ、ビルマがミャンマーへ、といった例が有名です。でも、それを世界が受け入れてくれるかどうかは別物です。日本の教科書や新聞がインドをバーラトと表記することは今の時点ではないでしょう。
インド人民党が勢力を伸ばしていく中で、ナチスを礼賛するような歴史否定論やムスリムに対する差別的扇動(ヘイトスピーチ)、イスラームがインドを裏で支配しているといった陰謀論的思考がインドで広がりを見せています。これはまさに現代的な特徴ともいえるでしょう。
中国とも対立するインド
インドは中国との間に国境紛争を抱えています。この中印国境紛争を見ていきます。
紛争地は中華人民共和国の中のチベットとインドが接する地域です。ここでは中国が19世紀末から第2次世界大戦後まで国家の体をなしておらず、そのためにこの時期に結ばれた条約を中国側が認めていないことが原因となっていることがわかれば十分でしょう。
地図にあるように、ブータンの東側(アルナーチャル=プラデーシュ)にイギリス領インドとチベットの国境線として1914年にマクマホンラインが決められます。ところが、中国がこんな条約は結んでいないと主張したため、このエリアは中国領なのかインド領なのかをめぐって1962年に武力衝突が起こっています。
中国とインドの国境紛争はカシミール地方でも展開されています。アクサイチンと呼ばれるエリアは現在中国が実効支配を行っていますが、これにインドが反発しています。中国とインドは現在に至るまでこの国境問題をめぐって対立しており、インドとパキスタンの仲が悪いために中国はパキスタンと結ぶという国際関係が半世紀以上も続いていることになります。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら