ビジネスリーダーが“KBS”を選ぶ理由 KBS〈慶應義塾大学大学院経営管理研究科〉
EMBAプログラムの1年目は、財務会計や経営戦略、マーケティング、組織人事、生産オペレーションなどのコア科目を中心に、経営の中核を担う人材に求められる経営全般の知識を身に付ける。授業はほとんど「慶應型ケースメソッド」による双方向型の授業で行われる。受講する学生は職務経験に基づいた知識を有しているが、いま一度、基礎から徹底的に鍛え直していくことができる。
2年目には、経営者との討論科目や、国内外の企業で社員と直接コミュニケーションしながら調査研究するフィールド科目を中心に、実践的なカリキュラムによって経営能力の開発を行う。
「日本にも、将来は経営者になりたいという人、経営に関心を持つ人は少なくないと思います。一方で、何らかの理由で学ぶチャンスがないまま、これから管理職や経営者になろうとする人たちが大勢います。忙しくなればなるほど学ぶ機会がなくなってしまいます。EMBAはその課題解決につながると期待しています」
次世代の社会が抱える問題解決に取り組む人材に集まってほしい
冒頭に述べたように、グローバル社会で活躍を目指すビジネスリーダーの育成は、日本の企業や組織にとって喫緊の課題である。
だが、それに対して河野教授は「企業や団体の推薦により入学した人の場合はどうしても、費用対効果として『即戦力につながる人材育成』が期待されがちです。特定の知識やスキルを身に付けるためのセミナーなどとは異なり、本物のビジネスリーダーを育てるには一定の時間とコストがかかります。ぜひ長期的な視点で、自社の成長のみならず、日本全体の競争力向上や問題解決を実現する人材育成を見守っていただきたいと願っています」
自社の社員だけによる集合研修との違いもここにあるだろう。業種も職種も異なるさまざまな経験を持つクラスメートと「ケースメソッド」により議論を重ねることで、新たな刺激や気付きがあり、それが企業や組織での成長や価値を生むことに結びつく。
「EMBAは今年4月に開講したばかりですが、当初の狙いどおり、多彩な人材が集まっています。議論も活発に行われており、早くも手応えを感じています」と河野教授は話す。2年間の最後には、クラス全員で社会への提言をまとめるビジョナリー科目で、学んだ内容を総まとめし、書籍にして社会発信していくという。
「企業から派遣される場合でも、MBAを取って昇進したいといった目先のことではなく、自分の部下、さらにその部下の部下まで含めて、会社や組織を良い方向に引っ張っていきたいという人がいいですね。そのためにリーダーになりたいという人、教えられるのではなく自分で学びたいという人にとっては本校は最適です。強い意欲、使命感、責任感を持ち、次世代を見据え、自社のみならず社会が抱える問題解決にビジネスリーダーという立場から取り組もうと考える人に、ぜひ本校の門をたたいてほしいと願っています」と河野教授は力を込める。