高円寺にだけ存在する「なんか自由な感じ」の正体 若者だけでなく中年にも居場所がある安心感

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昔から本屋が好きだったのに、どうして本屋で働くということを今まで考えなかったのだろうか。まあこの店みたいに小さな個人書店を手伝うのと、大きな書店に就職するのとではだいぶ違うとは思うけれど、もし大学を卒業したとき、就職先として書店業界を選んでいたら、定職につかずにふらふらと生きるのではなく、順調に会社員として働き続けていた可能性もあったのだろうか。

いや、多分だめだな。20代の頃の自分は本当に社会性や協調性がなかったので、どこに就職しても数年で辞めてしまっていただろう。この店の仕事が続いているのは、40代になった今だからだ。

昔の自分は落ち着きがなさすぎて、1日8時間同じ場所に座って勤務するのが本当に苦痛だった。それが少し落ち着いてきたのは四十路を過ぎてからだ。単に加齢とともに動き回るエネルギーがなくなってきただけなのかもしれないのだけど、その衰弱のせいでこういった店番ができるようになったのならそんなに悪くない。

書店員の仕事は楽しいけれど、フルタイムで働いているわけではないし、それだけで食べていける収入にはなっていない。まあ楽しいからそれでいいかと思っている。

「仕事をするとお金がもらえる」が理解できない

昔からずっとそうで、今でも相変わらずそうなのだけど、仕事とお金に関係があるということがうまく理解できない。

もちろん理屈としては、「仕事をするとお金がもらえる」という単純な因果関係はわかっている。しかし、自分の中ではいつまで経っても「興味のあることをやっていたらなんとなくお金が入っている」という感覚で、それ以外の意識で上手く仕事ができないのだ。

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