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将来にわたり、資産価値を維持向上できる条件は?
マンション選びの最新トレンド
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景況感の回復にともない、消費者の住宅購入意欲も高まりつつある。中でも、都心へのアクセスのよい大型マンションの人気が高い。これから購入を検討している人にとっては、物件選びにも迷うところだろう。マンションをはじめとするまちづくりや不動産マネジメントに詳しい横浜市立大学国際総合科学部の齊藤広子教授は「大切なのは、自分のライフスタイルに合っていること。さらに将来にわたり、資産価値を維持向上できる物件であることです」と話す。それを実現するための、マンション選びのポイントはどこなのか、最新トレンドなども含め、齊藤教授に解説してもらった。

ライフスタイル変化にともない
マンションの「立地」が最重要に

「マンション選びの際のチェックポイントにはいくつかの要素がありますが、その中で、もっとも重視すべきは『立地』です。ライフスタイルの変化にともない、その傾向がますます高まっています」と齊藤教授は指摘する。キーワードを挙げるとすれば、「少子高齢化の進展」、「男女共同参画」にともなう、「働く女性」や、「健康的で長生きするシニア層」の増加などだという。

「たとえば、女性が仕事と育児を両立するためには、都心にある勤務先へのアクセスがいいに越したことはありません。一方で、子育てを終えたシニアの方々も、最近はまだまだお元気な人が多いです。そのまま働き続けるにしても、新しい趣味を始めたり都心にショッピングに行ったりするにしても、電車などの交通利便性が不可欠です」

齊藤 広子(さいとう ひろこ)
筑波大学第3学群社会工学類都市計画専攻卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。ケンブリッジ大学土地経済学部客員研究員、明海大学不動産学部教授を経て現職。博士(学術)、博士(工学)

都心に近接しているということがそのまま価値になるということだろう。齊藤教授はさらに主要路線だけでなく最寄り駅とのアクセスにも注目すべきと話す。駅周辺には、医療機関や区役所、図書館などのほか、商業施設も集まっている。「マンションから気軽に歩いて買い物や病院に行けるというのも大切な要素の一つです。せっかく新しいマンションに移ったのに出無精になってしまった、というのでは意味がありません」。

周辺に公園や水辺などがあれば散歩も楽しめるだろう。

「周辺だけでなく敷地内でも豊かな緑や、明るい太陽の光を享受できるのもマンションの魅力です。同じ場所に一戸建て住宅を建てればかなり高額になるでしょうが、これを手ごろな価格で入手できるのです」

総戸数200戸以上のマンションは
共用施設が充実する傾向に

齊藤教授は集合住宅としてのマンションの特長について「共用部の施設や共用サービスを手軽に利用できることが欠かせません」と話す。

共用部の施設とは、たとえば、ラウンジやキッズルーム、ゲストルーム、集会所やパーティールームなどである。マンションによっては、建物内にミニショップやフィットネスジムなどを備えるところもある。

「最近注目されているのが、防災面での共用施設の活用です。東日本大震災の際には、建物内の集会所を居住者に開放し、炊き出しの場として使ったり、居住者が集ったりする場所にしたところもあります」と齊藤教授は紹介する。有事の際にはまさにマンションそのものが頼れる存在になるだろう。

齊藤教授は安心・安全に暮らすためには、ハードだけでなく、ソフト面の共用サービスも着目したいと語る。

「特に『人』のサービスです。私は『オンサイトマネジャー』と呼んでいるのですが、管理員や警備員、コンシェルジュなどのスタッフが24時間常駐していれば安心です」

災害時の安否確認などはもちろんのこと、夜間の急なトラブルなどにも迅速に対応できる。

齊藤教授は「前述したようなライフスタイルの変化に対応する設備やサービスも取り入れて欲しいところです。たとえばゴミ出しが毎日できればありがたいですね。また、専有部についても、生ゴミのディスポーザーが設置してあれば、ゴミの量が減るので便利です」と続ける。

あれば望ましい共用施設について、メニューを挙げればきりがないが、齊藤教授の分析によると、集合住宅ならではのスケールメリットから生まれてくるという。「当然ながら、たとえば少ない戸数のマンションで24時間有人管理をするといったことは、コスト面からもなかなか現実的ではありません。私の調査では、その分岐点は200戸です。200戸を超えると、共用部の施設やサービスが充実する傾向があります」。大型マンションであれば、1戸あたりが負担する費用も少なくてすむ。管理費の負担も低く抑えることができるわけだ。

資産価値の維持・向上のために
良好なコミュニティーが鍵になる

日本の住宅政策はすでに「フロー型」から「ストック型」へと転換しつつある。今年5月には、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家対策法)も全面施行された。「今後は、やみくもに住宅をつくるのではなく、いい立地に、良質な住宅をつくり、きちんと管理していくという流れが当たり前になってくると思われます」

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