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米国も政策転換、「脱石炭火力発電」で遅れる日本 気候問題の専門家、平田仁子氏に日本の進路を問う

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アメリカは石炭火力発電のフェーズアウトに舵を切った(写真はアメリカ・インディアナ州の石炭火力発電所) AP/アフロ
4月28~30日にイタリア・トリノで開催されたG7(先進7カ国)の気候・エネルギー・環境相会合は、二酸化炭素(CO2)を大量に排出する石炭火力発電の廃止年限について、「2030年代前半」という文言を共同声明に盛り込んで閉幕した。しかし、声明文には「あるいは1.5度の気温上昇と整合的なタイムラインで」という文言もあり、抜け道が用意されているといった批判もある。
CO2など温室効果ガス削減が遅々として進まない中、今年秋の「国連気候変動枠組条約第29回締約国会議」(COP29)では、さらなる排出削減対策強化について議論される見通しだ。2025年2月までに各国は、温室効果ガス削減目標を含んだ新たな国別行動計画(NDC)の提出が求められている。日本国内ではエネルギー基本計画の改定に向けた審議が2024年5月15日に始まった。
日本は脱炭素化への取り組みをいかに強化すべきか。気候変動問題の独立系シンクタンクClimate Integrate(クライメート・インテグレート)の平田仁子代表理事にインタビューした。

※本記事は2024年5月24日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。


――G7気候・エネルギー・環境相会合の結果をどう評価しますか。

世界の国々が参加するCOP29で成果を挙げるためにも、先行するG7での合意内容はきわめて重要な意味を持っている。

ここ数年、G7での合意内容は、COPでの温室効果ガス排出削減対策強化につながる合意形成の土台になってきた。2023年は「化石燃料からのフェーズアウト」という文言が初めてG7広島サミット首脳会合の共同声明で盛り込まれた。また、今回の合意では、初めて石炭火力発電のフェーズアウト年が書き込まれた。

ただし、科学的な視点で見た場合、取り組みは遅すぎると言える。

世界の気温上昇を産業革命当時から1.5度以内に抑えることは、地球温暖化による悪影響を抑えるうえできわめて重要だ。そのためには世界全体での温室効果ガス排出量を早期に減少に転じさせなければならない。

しかし排出削減が進まず、「1.5度目標」に沿った排出削減経路と実績とのギャップは年々大きくなっている。だからこそ、G7は先進国として排出削減でリーダーシップを発揮する責任が求められているのだが、取り組みは不十分だ。

石炭火力廃止への取り組みは不十分

――どのような点が不十分なのでしょうか。

地球温暖化に関しては、CO2排出量の多いエネルギー分野が最も大きな原因を作り出している。中でも電力分野の寄与は大きく、石炭火力発電の存在が最大の問題となっている。つまり、石炭火力発電をいかに早くやめ、そこから脱却するかが求められている。

石炭火力の扱いは、G7やCOPの場でもここ数年の大きなテーマであり続けてきた。しかし、いまだに廃止の道筋を描き切れないのが実情だ。

――今回のG7気候・エネルギー・環境相会合の共同声明で、石炭火力発電の廃止時期については「2030年代前半まで」と年限が明記されました。このこと自体は大きな前進では。

石炭火力の全廃は最優先課題であり、時期について初めて明記されたことの意義は大きい。特にG7会合の直前に、アメリカのバイデン政権が石炭火力発電に関する新たな規制強化措置を打ち出したことは議論に大きな影響を与えた。

アメリカで2039年以降も石炭火力発電所の運転を続けるためには、2032年までにCO2排出量を90%削減または回収する対策を取らなければならないとされた。いずれの場合も莫大な設備投資費用がかかるため、事実上、石炭火力発電の存続は困難になる。

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