「日米蜜月」アピールと裏腹に進む「外交の新潮流」 内政に翻弄される岸田首相の「次なる外交課題」

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アメリカ以外の国との戦闘機の共同開発や第三国への輸出による安保体制の強化は、今回の首脳会談で掲げた「日米同盟のかつてない高み」とは真逆のアメリカ離れとも見える話である。アメリカにとってもすんなり受け入れられる話ではないはずだが、日本政府関係者によると、事前調整でアメリカ側から強い反発や異論は出なかったという。

つまり、日本はアメリカと向き合うときは日米安保の重要性や自衛隊と米軍の一体性を強調するが、同時進行でアメリカ以外の国々を相手に多様な国家グループを作り、アメリカだけに依存しない安全保障政策も進めているのである。

実はこうした多角的で多様性のある外交は日本だけが推進しているわけではない。国際社会がアメリカ一極支配から多極化、無極化といわれる状況に変化したことを受けて、多くの国が国益を実現するために挑戦している今風の外交のスタイルなのだ。

フルコースではなくアラカルトの外交

この数年、外交の世界では「プルリラテラリズム」とか「アラカルト方式」という言葉が広がっている。

「プルリラテラリズム」という言葉はインドのジャイシャンカル外相が主張しているもので、「特定の課題について利益を共有する国がその場限りのグループを形成する」外交を指す。「アラカルト外交」も同じような意味で、あらかじめ用意されたフルコースではなく、好みに合った料理だけを注文するスタイルを外交に当てはめた考えだ。

こうした外交が広がった背景についてジャイシャンカル外相は著書で、「同盟の規律が弱まり世界が多極化し、独自の思考や計画に着手する国が増えている」「多国間のルールが弱体化し、国際機関の機能が低下している」と分析している。そのうえで「伝統的な同盟を超えた成果ベースの協力が魅力を増していくだろう」と予測している。

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