日本でも台頭「Qコマース」1時間で商品届く仕組み 在庫の持ち方によって2種類に分けられる

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現状、流通大手はというと、デリバリーサービスとの提携により、一部でQコマースを提供しているほかは、本格的に参入する気配すら感じられません。なぜなのか。

Qコマースはプラットフォーム事業です。アマゾン・ドット・コムをみれば明らかなように、投資を続けて、市場を掘り起こし、そこから数年かけて儲けの出る事業に育っていきます。

現状ではまだ、どのくらいの規模の市場が見込めるかもわからず、見えているのは、当面、先行投資がかさむということだけです。

上場企業の場合、株主への説明が難しく、収益化までの時間が見えにくいものにはなかなか参入が許されません。

それよりも、目先の利益でいえば、商品の調達力では流通大手のほうが圧倒的に実力は上ですから、Qコマースをサービスとして提供するのであれば、デリバリーの部分だけ借りればいい、という考え方に行き着くのは当然です。

若い世代が重視するのは「送料」より「タイパ」

しかしながら今後はわかりません。Qコマース利用のネックになりそうな送料負担について、いまの20代、30代は送料を支払うことに抵抗感がありません。

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彼らは、それよりも、タイパを優先しますから、Qコマースを利用する機会は増えていくでしょう。

また買い物が不便な地域では、移動販売車での買い物の場合、その利便性こそが重要で、商品ごとに手数料を支払うことにも慣れてきています。

スマートフォンでの操作に不慣れな人がいれば、離れたところに暮らす家族が代わりに発注することも、システム設計上は可能です。

ただし、いまの姿の延長として、複数のサービス事業者が、適正な利益を上げながら、市場シェアを分け合うという構造は、想像しづらいと考えられます。

現在のプレイヤー同士の統廃合が進むか、ある段階で大手が事業を買い取るかといったかたちで、Qコマースのプラットフォームが残っていくという可能性もあるでしょう。

角井 亮一 イー・ロジット取締役会長兼チーフコンサルタント

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かくい りょういち / Ryoichi Kakui

1968年生まれ。上智大学経済学部経済学科を、3年で単位取得終了し、渡米。ゴールデンゲート大学マーケティング専攻でMBA取得。帰国後、船井総合研究所に入社。2000年に通販専門物流代行会社である当社を設立、代表取締役就任。著書に「物流革命2020」(日本経済新聞社)「日経文庫 物流がわかる<第2版>」「すごい物流戦略」(PHP新書)など

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