裏金事件「政倫審」で幕引きという思惑が大外れ 下村氏は関与否定"裏金議員処分"の行方も不透明

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下村氏への質疑で最大の焦点だったのは安倍派での「キックバック復活」の経緯。2024年4月に、安倍派会長時代の安倍晋三元首相が招集した幹部会合で、安倍氏が示した「現金でのキックバック中止」の方針を下村氏ら幹部が了承したにも関わらず、安倍氏死去後の同年8月以降に復活した経緯とその真相だった。しかも、これまで政倫審で説明した安倍派5幹部の間で説明が食い違っていたこともあり、2回の会合に出席していた下村氏の証言が注目されていた。

「ある人」が誰だったか記憶にないー下村氏

下村氏は弁明で「キックバックの是非」を巡る2回目となった8月5日の会合について、「今後の清和研の運営の仕方や、安倍さんの葬儀についての話が中心だったが、会合でも還付はやめるというのが前提だった」としたうえで「(ノルマ超過分を)戻してもらいたい人にどんな方法が取れるのかということで、個人でパーティーをした時に派閥が購入するというふうな方法があるのではないかと『ある人』が言った」と語った。

ただ、この「ある人」が誰かと詰問されると「だれが最初に言ったのかは覚えていない」と、他の出席者と口裏を合わせるように明言を避けた。さらに、「キックバックの復活は8月5日より後の会合で決まったはず。私はその会合には出ていないので、どこで決まったか、まったく分からない」と繰り返した。

こうした「知らぬ存ぜぬ」の下村発言は、それまでの安倍派幹部の「すべては歴代会長と事務局長が決めたことで、我々は全く関与していなかった」との弁明に沿った内容。それだけに野党側だけでなく与党内からも「歴代会長でただ一人存命な森氏に聞くしかない」(自民若手)との声が相次ぎ、野党側も「証人喚問も含めた森氏の国会招致」(立憲民主国対)の早期実現を強く要求する方針だ。

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