北里大学

医工連携が変える
日本の未来・大学の役割

北里大学

柏野 そのお話は非常に重要ですね。医工連携を日本で本当に盛り上げるためには、アイデアを出した医師にその対価が還元されるシステムが必須だと思います。ただ、現状はまだその整備が進んでいません。

医療機器メーカーの中には、売り上げの何%かを医師にお支払いするといった形の契約を結んでいるところもありますが、まだ一部です。早期に、この仕組みを構築することが大切ですね。

小林 少子化傾向により18歳人口が減ることが確実視されています。学生数が減少する中で、特許など学納金以外の収入を確保することができれば、大学としてはこれまで以上に質の高い教育研究を行うこともでき、そのことにより、優れた学生を集めることができるようになります。知財戦略にはさらに力を入れていきたいですね。

実は、学内に眠っている知財もたくさんあるのです。「これは製品化できるのではないか」と判断できる目利きのような人に協力いただけるといいのですが。

柏野 「餅は餅屋」とも言います。やはり、その道の専門家の力を借りるのが近道だと思います。製販企業(医療機器製造販売業の許可を持ち、医療機器を製造・販売している企業)のスタッフであれば、すべての医療機器とは言わなくても、自社製品に関連するようなものであれば、目利きができるでしょう。

さらに、私は「製販ドリブン(製販企業が医工連携の駆動力になる)」と呼んでいるのですが、まず、これらの製販企業と北里大学の臨床現場を結び、そこに、必要に応じてものづくり企業が加わるという体制をつくれば、北里大学発の医療機器をうまく開発できるのではないかと考えています。東京都文京区の「本郷エリア」には、製販企業が100社以上集まっています(コラム1参照)。これらはほとんどが中小企業ですが、自社が関連する製品は知り尽くしていますので、北里大学の医工連携のサポートになると思います。ただし、研究開発のリソースが限られているのが彼らの弱みです。資金面では公的資金が活発に使われているのですが、人材面のリソース不足は大きな課題です。そこで提案ですが、北里大学の学生さんを一定期間インターンのような形で製販企業内での研究開発マネジメントに参加させてもらえると、製販企業にも学生さんにもメリットがあると思うのですがいかがでしょうか。

COLUMN 1
今、医工連携は本郷エリアがアツい

「製販ドリブン」モデルの実践における最初の課題は「どのように製販企業の参画を得るか」だ。柏野氏は、製販企業の国内最大の集積地である本郷エリア(東京都文京区本郷・湯島周辺地域)に注目し、本郷エリアの製販企業とものづくり企業との連携を推進している。同エリアには、売上高10~20億円規模を中心に製販企業が約100社集まる。医療機器のもつ「多品種・少量」という特徴を反映して、特定の診療科や領域に特化し、存在感ある多数の中小企業が立地している。

日本医工ものづくりコモンズでは、この本郷エリアにおいて、製販企業とものづくり企業を結ぶ展示会や商談会などの開催を支援している。また、地域コーディネーターによるサポートや公的資金を活用した共同開発支援なども促進させることで、医工連携の流れを少しずつ加速させようと日々奮闘している。

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