理論的にいえば、大金持ちの「富裕層」や、圧倒的な美貌を持つ「美人」、頭のいい「高学歴の人」というのは、自己愛が満たされており、自己肯定感も高いため、人に対して優しい傾向があるはずですが、現実的には、必ずしもそうではないケースが少なくありません。
あなたの周りにも、鼻持ちならない金持ちや、性格の悪い美人、人を見下すような高学歴の人が、1人くらいはいると思います。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか? その原因は、現在のような状態になるまでの過程で、さまざまな辛酸を舐めてきたことにあります。
ド根性で這い上がってきた金持ちの多くは、これまでに何度となく嫌な思いを経験していることで、「自分は運が悪い」と思っており、気迫と努力で勝ち抜いてきたという自負があるため、自己愛が満たされていません。
彼らの目には、「貧乏なヤツは努力をしないからだ」と映っているから、周囲の人に冷たい態度を取りがちです。
美人や秀才が抱えるルサンチマン
圧倒的な美人の場合も、嫌な経験を何度もしてきたはずです。
たまたまルックスがいいというだけでイジメの対象にされたり、たくさんのダメ男に言い寄られるなど、不愉快なことばかりが続いていれば、必要以上に周囲を警戒するようになります。いつしか自分のルックスが重荷に感じられて、自己愛を持つことができなくなってしまうのです。
周囲から「頭がいい」といわれて育った高学歴の人には、親に無理やりに勉強させられてきたという人も少なからずいます。
あらゆることを犠牲にして、つねにいい成績を取ってきたが、周りの連中は異性と遊んでばかり……という経験を繰り返してくると、東大を卒業したとしても、自己愛を満たすことができず、自然と人を冷ややかに見るようになります。
こうした感情をドイツの哲学者ニーチェは「ルサンチマン」(弱者が敵わない者に対して抱く怨恨や嫉妬)と称しています。
大金持ちや美人、高学歴など、圧倒的に恵まれていると思えるような人にも、それなりに何かしらの事情があることを知っておけば、彼ら彼女らに腹の立つような対応をされても、少しは優しくできるのではないでしょうか。
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