名古屋の建設会社が「低家賃物件」を扱う強い覚悟 2代目社長が母子世帯への住宅支援で描く先

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住宅探しに苦しんできたシングルマザーの中には「こんな物件に住めるなんて」と感じることで尊厳を取り戻していく人もいるという(提供:LivEQuality)

ゴルフと接待まみれだった地方の建設会社の後継ぎが、コロナを機にシングルマザーの住宅支援に立ち上がった。日本のシングルマザー世帯の相対的貧困率は先進国で最低レベル。その解決策として彼が取り組んだのは?

「2018年、父が急逝したのを機に建設会社を継ぎました」

そう語るのは、名古屋市にある千年(ちとせ)建設社長の岡本拓也さん。学生時代はバックパッカーとして旅をする中で、ソーシャルビジネスを世界に広めたグラミン銀行に出会った。小規模融資で貧困層の自立支援を行う世界観に感銘を受けた岡本さんは、大学卒業後に公認会計士となってビジネスの経験を積んだ後、NPOセクターの経営に飛び込んだ。

名古屋市内に約100戸を所有

しかし39歳のときに父の後を継いで、地方の建設会社の社長に転身すると生活は一変した。工場の修繕や建築などを得意とし、メーカーや製造業の顧客が多い会社のトップとなれば、これまでの働き方とは勝手が違う。岡本さんはこう続ける。

岡本拓也さん(右)とスタッフ(筆者撮影)

「郷に入っては郷に従えと、ゴルフや接待を始めました。しかしコロナ禍になると非正規雇用の方々が仕事や住まいを失い、特にシングルマザー家庭に“居住貧困”という問題があることに気づきました」

そして「こういうときだからこそ、何かをやりたい」と自分自身の原点に立ち返り、住宅支援を始めようと決意したという。

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