がん治療のおカネは、本当はいくら必要なのか “働きながら闘病する"という現実

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実際、「がん患者の就労等に関する実態調査」では、がん罹患により半数以上の人が個人の収入が減ったと回答している。家計を支えるビジネスパーソンであれば、がんによる経済的リスクに備えるのは必須ともいえるだろう。

「経済リスクに備えるにあたり、まずベースとなるのは、高額療養費制度をはじめとする公的保障です。他にも、休職した場合は傷病手当金を申請すれば、月収40万円の人ならひと月あたり約26万円を1年半にわたって受給することができますし、がんで障害が残れば障害年金が受給できるケースもあります。このような公的制度は、自分から申請を行わなければ給付されないので、日頃から知識をつけておくことが必要です。実際、制度を知らなかったばかりに申請をしていない人は実に多いんですよ」

入院だけでなく通院もカバーした保険を

公的制度をフル活用した上で、足りない分は預貯金や民間保険で補うことになる。では、民間のがん保険を選ぶ際にはどのような点に注意したらよいのだろうか。

「『せっかく保険に入っていたのに保障適用外で満足な給付が受けられない』とならないために、今のがん治療の傾向を押さえておくことが求められます。手術療法、抗がん剤などの化学療法、放射線療法はがんの3大治療といわれていますが、標準治療ではこの3つの治療法を進行度に応じて組み合わせるのが一般的です。最近のがん治療は、入院期間が短く、通院による抗がん剤等の投薬や放射線治療を行うケースが増えているので、入院だけでなく通院による抗がん剤治療や放射線治療もカバーする保険を選ぶようにしましょう。また、先述のように治療費の面だけでなく、収入が減ることを考慮して、所得を補填できるような保険が理想的です。ただ、やみくもに加入すると、定年後に保険料の支払いが負担になり、解約してしまいがち。ですが、がんのリスクがもっとも高まるのは50代後半以降ですので、定年後も払い続けられる保険料であることも大切です」

また、もしがんになってがん保険の診断給付金を受け取った場合、収入が減ることに備えて、この給付金は使わずにとっておくべきだと黒田さんは指摘する。がんの種類にもよるが、5年~10年は再発や転移の可能性が捨てきれず、そうなればますます収入への影響が大きくなるからだ。

「もちろん、『がんにならないための備え』も大切です。日頃から健康に気を配り、定期的にがん検診や人間ドックを受けるようにしましょう。早期で発見されれば、身体への負担はもちろん、経済的負担もかなり違ってきます。早期がんなら治療時期や治療内容などスケジュールや費用の予想がたてやすいのですが、進行がんの場合は効果のある治療をその都度行うので、予想がたてにくいのです」

まずは健康面でのリスクに備えること。そして、もしがんになっても家族が安心して暮らせるよう、がん闘病の現実を知り、知識を身につけ、預貯金と保険の両面で経済的リスクに備えたい。