がん治療のおカネは、本当はいくら必要なのか “働きながら闘病する"という現実
黒田さんが乳がんだと診断されたのは2009年12月。告知時の診断はステージⅡbの状態で、翌年はじめに入院し、手術を受けた。その後、乳房再建手術を行い、2年ほどホルモン剤治療を続け、現在は定期検査のため半年に一度通院している。
仕事柄、多くの顧客にライフプランニングのアドバイスを行ってきた黒田さんも、自身ががんになるとは想像もしておらず、がん保険には入っていなかったという。
「実際にがんになってみると、出費は想像以上に大きなものでした。がんにかかるお金は医療費だけだと誤解している人も多いのですが、医療費以外にもさまざまなお金が必要になります。たとえば、定期検査費用や、通院にかかる交通費。遠方の病院に通う人であれば宿泊費もかかりますよね。また、健康食品やサプリメント、がんについて知るための書籍も購入しました。さらに、私が入院している最中の主人と子供の外食費用など治療費以外の細々とした出費が重なったのです」
これらの諸費用を含め、手術をした最初の一年にかかったのは約250万円。このうち約160万円は、当時はまだ保険適用外だった乳房再建のためにかかった費用だ。
退院後も検査や通院の都度出費があり、かかった費用は今年4月の時点で総額326万円にものぼる。決して楽に捻出できる金額ではないだろう。がん保険に入っていなかったという黒田さんは、どのようにしてこの費用を捻出したのだろうか。