半導体関連「レーザーテック」株に魅了される人々 東証プライム市場で「売買代金トップ」の銘柄

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レーザーテックは、最先端の半導体製造に使われる「フォトマスク」や「マスクブランクス」の検査装置を手がける。一般的な認知度は決して高いとはいえない。

だが株式市場内での存在感は圧倒的。2023年11月までの累計売買代金はおよそ60兆円で、2位の三菱UFJフィナンシャル・グループのおよそ3倍という水準だ。

レーザーテックの売買代金

知名度で劣るにもかかわらず、同社株の売買代金はなぜ突出しているのか。背景の1つにあるのは、デイトレーダーなど頻繁に売買を繰り返す個人投資家たちが集う「主戦場」となっていることだ。

個人投資家の動向に詳しい松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、「2016年頃からものすごい勢いで株価が上昇していく過程で、デイトレーダーなど個人投資家の間で認知度が高まってきた」と解説する。

魅力は「値動きの激しさ」

2016年初めに300円程度だった株価は、足元で3万7000円を突破している。100倍を超える上昇率はまさに投資家の夢だ。元手の約3倍までの売買が行える信用取引を活用する投資家も集まり、売買代金が急増していった。

「株男.japan」のアカウント名でX(旧ツイッター)に収支報告を投稿している男性も、レーザーテック株の売買に日々いそしむ個人投資家の1人だ。FX(外国為替証拠金)取引を20年近く行ってきたが、900万円負けたことを機に退いた。

「FXは24時間取引できることもあって酒を飲みながらやり、熱くなって損切りができなかった」

そのように敗因を語る男性が昨年、目を向けたのが株取引だ。投資系ユーチューバーの勧めを参考に、レーザーテック株をメインに信用取引をフル活用して売買を繰り返している。

レーザーテック株の魅力は「これだけ値動きの激しい銘柄はなかなかないこと」にある。男性がFX取引で好んでいた英ポンド円は値動きの激しい通貨ペアとして知られる。レーザーテック株の値動きはそれに近い印象だと話す。

加えてレーザーテック株の投資に華やかさも感じているようだ。「みんなが注目している株をやっていたらカッコいい。いちばん人気の銘柄なら周りにも『自分、レーザーやってます』と言える」(男性)。

レーザーテックの株価は今年5月以降、同じ水準の高値と安値の間を行ったり来たりする「保ち合い相場」が続いていた。そのレンジを利用し、男性は月200万円ほどを稼いだ。仕事中も相場が気になって「5分に1回、姿を消していた」と笑う。

レーザーテックの株価推移
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