会社の「実質強制ボランティア」を断る4つの方法 大阪府・大阪市「優勝パレード」から見る問題点

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第2は、集団での交渉です。自分1人だけで交渉するのは心理的ハードルが高いですし、集中攻撃を受けるリスクがあります。しかし、ボランティアを強制する会社の方針に疑問を持つ社員が自分以外にもいるのであれば、人数を集めて会社と交渉するというのも手です。

「そんなに多くの社員が反対していたのか」ということがわかれば、会社側も対応を変える可能性があります。状況によっては、労働組合を結成して、正式に法的な意味での団体交渉を申し込むということも考えられるでしょう。

第3は、労働基準監督署への相談です。強制的なボランティア活動への参加は、無償労働となり、まさに「賃金未払い」という労働基準法違反ですから、労働基準監督署も会社への指導や調査に動いてくれるはずです。労働基準監督署に相談をする際には、強制参加を裏付ける社内文書やボイスレコーダーなどを準備しておくといいでしょう。

自ら会社に見切りをつけることも選択肢の1つ

第4は、退職も含めて検討するということです。会社に改善を求めることが難しそうな場合や、ボランティアを拒んだために嫌がらせを受けたような場合は、自ら会社に見切りをつけ、新しい職場に移るということも前向きな選択肢だと思います。

雇用保険の基本手当(いわゆる「失業手当」)の受給においても、このような理由で離職した場合には、特定受給資格者(いわゆる「会社都合退職」)とみなされ、給付制限期間なく基本手当を受給できたり、年齢や勤続年数によっては原則日数の90日分以上の基本手当を受給できる場合もあります。

なお、会社から受け取った離職票が「自己都合退職」と書かれていたとしても諦めないでください。離職理由を最終的に決定する権限を持っているのは会社ではなくハローワークなので、ハローワークに事情を説明すれば、職権で離職理由を変更してもらうことができる可能性があります。

本来、ボランティアとは、誰かから命令されて行うものではなく、自発的な意思によって参加するものです。そこに組織の事情が加わって、強制参加の色を帯びるというのは、社会通念上違和感がありますし、法的にも、全てが違法とまでは言えませんが、「黒に近いグレー」である場合が多いと考えられます。

会社であれ地方公共団体であれ、所属するメンバーが安心して気持ちよく働けるようにするということ、および、コンプライアンスの両面から、ボランティアへの動員にあたっては、慎重な対応をすることが望ましいと言えるでしょう。

榊 裕葵 社会保険労務士、CFP

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さかき ゆうき / Yuki Sakaki

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。会社員時代の経験も生かしながら、経営分析に強い社労士として顧問先の支援や執筆活動に従事している。

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