相鉄不動産「家電付き賃貸」で狙う新たな住まい方 入居者が「ラクで快適なくらし」を実現できる訳

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(左から)パナソニックの谷山氏、相鉄不動産の松尾氏、相鉄不動産販売の白石氏
「所有から利用」など、ライフスタイルの多様化が進む一方、賃貸物件への入居時に家電を購入し所有することは、依然として「当たり前」のままだ。こうした住まい方の常識に新風を呼び込もうとしているのが、パナソニックが展開する賃貸住宅向けの家電サブスクリプションサービス「noiful」である。家電付き物件が入居者にもたらす価値とは何なのか。新しい住まい方の一環として、賃貸マンション「KNOCKS(ノックス)」で「noiful」を導入している相鉄不動産、入居者と直接の接点を持つ相鉄不動産販売と、パナソニックに話を聞いた。

「選ばれる賃貸」で、沿線外からの人口流入を狙う

――相鉄不動産では、賃貸の「新しい住まい方」の提案に注力されていると聞きます。その理由について教えてください。

松尾(相鉄不動産) 現在、当社では相鉄線沿線が人々から「選ばれる沿線」になるために、相鉄線沿線の人口循環と沿線外からの人口流入を促進させる「ターンテーブル・モデル」による街づくりを推進しています。

当社の賃貸マンションシリーズ「KNOCKS」は、いわば「住宅のエントリーモデル」で、ターンテーブル・モデルの中では人口流入のきっかけとなる住宅という位置づけです。そのため、沿線外からでも住んでみたいと思われるような魅力的な商品づくりはもちろんのこと、沿線の賃貸市場向上に貢献できるフラッグシップモデルとなる新しい住まい方の提案も必要だと考えています。

――「新しい住まい方」とは、どのようなイメージでしょうか。

相鉄不動産 賃貸施設事業部 賃貸開発センター 松尾多恵氏
相鉄不動産
賃貸施設事業部 賃貸開発センター
松尾多恵

松尾 例えば、昨今はコロナ禍の影響もあり、自宅で過ごす時間が増えたことで、賃貸市場のトレンドとして室内のしつらえや過ごし方にこだわりを持つ方が増えています。このような変化に応じて、入居者が自分らしくくらせるストレスのない住まいのデザインを提案することも、新しい住まい方に必要な要素の1つです。

現在「~レス(~がない)」という言葉がよく使用されますが、「KNOCKS」では物理キーを必要とせず、カードキーやスマホをかざして開錠する「キーレス」を物件の標準仕様にしています。入居者からは紛失などの負担が軽減されたとご好評いただいております。新しい住まい方を提案するうえでは、どの世代にも気軽に新生活をスタートできるような、ストレスのないソフトサービスの拡充が非常に重要だと考えています。

――「KNOCKS」では、新しい住まい方の一環として、パナソニックの家電サブスクサービス「noiful」を導入されています。「noiful」とはどのようなサービスなのでしょうか。

谷山(パナソニック) 「noiful」は、賃貸物件向けに冷蔵庫、洗濯機、テレビ、オーブンレンジ、美容家電などのパナソニックの先進的な家電を月額でご提供するサービスです。具体的には、入居者が自身の生活スタイルと部屋の間取りに合った家電のパッケージを選んで使っていただける「noiful ROOM」と、家電のご提供に加え、家電と空間が調和する形で部屋のリノベーションも行って物件をご提供する「noiful LIFE」の2種類をご用意しています。

noifulのモデルルーム
「noiful」で選んだ家電は入居前にあらかじめ設置され、入居後すぐに利用できる。利用料は家賃に上乗せで支払う(写真は「noiful LIFE」のモデルルーム)

家電をそろえる手間を軽減して新たな生活を軽やかにスタートでき、家電を所有しないくらしを叶えられることから、「KNOCKS」がご提案されている「~レス」なくらしにマッチするサービスです。

軽やかな引っ越しを叶える「noiful」の魅力

――2023年1月入居開始の「KNOCKS星川」(横浜市保土ケ谷区)で「noiful ROOM」を導入されてから、同年10月入居開始の「KNOCKS南万騎が原サウス」(横浜市旭区)にも導入を拡大されています。この狙いについて教えてください。

松尾 いずれも単身社会人・学生がターゲットのため、転勤や卒業のライフイベントを機に引っ越す入居者も多くいると想定し、家電をサブスク利用して所有しないという、身軽な「新しい住まい方」を提案する「noiful ROOM」のサービスは非常に相性がいいと思いました。

毎日使用する生活家電は、生活の質を向上させる要素として不可欠です。特に「KNOCKS星川」の入居者は20代後半から30代前半の社会人が多く、キャリアを積み、収入も安定してきた世代です。そろそろゆとりある快適なくらしを実現するために機能的な家電が欲しいと考える一方で、賃貸で一人暮らしの今ではなく、結婚や不動産購入を機に検討しようと思うのではないでしょうか。

そのような希望と現実のギャップを埋めてくれるのが、「noiful ROOM」だと思います。パナソニックのデザイン性や機能性に優れたハイグレードな家電は、入居者の生活の質向上に大きく貢献してくれると確信し、導入を決断しました。また、故障したときにパナソニックの修理補償がついているため、入居者の安心感につながることもメリットだと考えています。

――入居者は「noiful」をどのように利用できるのでしょうか。

松尾 「KNOCKS星川」では「先進家電パック(ドラム式洗濯乾燥機・冷蔵庫)」というプランを用意しています。駅直結の一人暮らし向けの物件ということで、利便性を求めているビジネスパーソンを想定し、乾燥機能に優れたドラム式洗濯乾燥機と、作り置きや冷凍食品の収納ができるように、冷凍庫が大きい冷蔵庫を選びました。

先進家電パック
先進家電パック

「KNOCKS南万騎が原サウス」ではその2つに加えて、女性をターゲットにしているため、なかなか手が出ない高級な美容スチーマーと衣類スチーマーをセットにした「美容家電パック」というプランも導入しています。

美容家電パック
美容家電パック

――「noiful」導入後の反響はいかがでしょうか。

相鉄不動産販売 流通事業部 賃貸センター 課長 白石由里子氏
相鉄不動産販売
流通事業部 賃貸センター 課長
白石由里子

白石(相鉄不動産販売) 「KNOCKS星川」では、モデルルームを用意しており、実際に「noiful」で選べる家電を設置したところ、内覧時にイメージしやすかったようで、とても反響があり成約率にも貢献しました。

あるお客様は、「noiful」を利用できる部屋と、その部屋よりも少し広い部屋で迷われた結果、最終的に前者を選択されました。また、別のお客様は、洗濯乾燥機と冷蔵庫があれば即座に生活を始められると喜ばれ、「noiful」が決め手となって部屋を選ばれました。

気軽な住み替えの実現で、くらしの「未来の扉」を開く

――入居者は「noiful」のどのような点を魅力に感じられていると思われますか。

白石 やはりすぐに生活を始められるという点は大きいと思います。特に洗濯機は反響が大きかったです。通常の内覧時は洗濯機置き場に防水パンがあるだけなので、設置時のイメージがしづらいです。実際に購入する際も、洗濯機はサイズを測る手間がありますし、搬入経路の幅なども細かくチェックしなければいけません。

大型家電は入居後にもよく質問されたり、計測をお手伝いしたりすることが多いので、「noiful」が普及することでスタッフサイドの負担も軽減されるのではないかと思います。

パナソニック くらしアプライアンス社 ハウジングアプライアンス事業推進室 サービス企画・営業課 主務 谷山明子氏
パナソニック くらしアプライアンス社
ハウジングアプライアンス事業推進室
サービス企画・営業課 主務
谷山明子

谷山 特に大型家電は気にしなければならないことがたくさんありますし、実際に運び込んだ際、搬入経路も含め入らなかったという話もよく耳にします。そもそも、引っ越しは、ワクワクするイベントにもかかわらず、することが多く、家電のことも考えなければいけないとなると、おっくうに感じてしまう方が大多数ではないでしょうか。家電選びが苦手な方にも、ぜひ「noiful」をご利用いただきたいと思っています。

また、入居者様からもご評価いただいているデザイン性や機能性に優れたハイグレードな家電が加わることは、物件の価値向上にもつながると自負しています。「KNOCKS」には「未来の扉をノックする」という意味も込められているとお聞きしましたので、まさに入居者様の新しい生活をご支援し、期待に満ちあふれた新しい生活という未来への扉をノックするお手伝いができると思っています。

――「noiful」が住まい方の新たな選択肢になる可能性について、改めてお考えをお聞かせください。

松尾 昨今、若年層を中心に経済的な観点や環境意識の高まりから、「所有から利用」へ意識の変化が加速していると感じています。その観点からも、引っ越しや入退去の際にかかる購入・廃棄費用などのコストの軽減、家電のリユースによりSDGsにも寄与する「noiful」は、今後当たり前の選択肢になると予想しています。

白石 「賃貸の気軽さ」と「家電サブスクの気軽さ」には親和性があると思います。気分や環境を変えたいときに、気軽に住み替えたい人も多いはずですが、家電の所有がその選択を妨げている要因になっている可能性もあるのではないでしょうか。「noiful」なら引っ越したその日から日常生活を送れますし、家電を処分する煩わしさからも解放されるので、引っ越すことがもっと自由で楽しくなるはずです。それこそが、われわれが提案したい「新しい住まい方」だと思っています。

谷山 パナソニックの先進的な家電は「くらしの価値」を向上させる手段として、大事な役割を担っていると考えています。せっかく快適な空間の物件だとしても、毎日使う家電がよいものでなければ、生活の質は上がりません。上質な家電を気軽に使っていただく機会を作っていく「noiful」、これはパナソニックがお客様との新たなエンゲージメントとしてチャレンジしている事業です。賃貸市場全体の活性化も図りながら、上質な生活を送っていただける方を一人でも多く増やしていきたいと願っています。

>賃貸住宅向けサブスクリプションサービス「noiful」について詳しくはこちら

>相鉄不動産の賃貸マンション「KNOCKS」について詳しくはこちら

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パナソニックの丹野直司氏(左)と東急不動産の岡本美優氏(右)