外資系損保で働く女性管理職がキャリアを語る 「それぞれの経験が組織を強くする」職場環境

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AIG損害保険の女性管理職
左から相田氏、重松氏、石井氏、山下氏
世界約70の国や地域で保険サービスを展開するAIGグループ。外資系ということもあり、ダイバーシティ(多様性)を重んじる考え方が浸透しており、さまざまな部門で女性管理職が活躍している。数多くのチャレンジ、苦労を乗り越え、第一線で経験を積み重ねてきた彼女たちのキャリアマネジメント術とは? その本音を語ってもらった。

 

【プロフィール】(五十音順)
相田 彩子氏:首都圏地域事業本部 横浜支店 支店長 アルバイト事務スタッフから、管理職へ登用。2020年から現職
石井 泉氏:オペレーション統括部 部長 新卒入社以降、一度退職。グループ会社に再入社後に復職、2018年から現職
重松 千恵氏:関西地域事業本部 大阪中央支店 支店長 出産を機に一度退職し、再雇用の後、2021年4月から現職
山下 裕子氏:損害サービス部門 広域災害担当 責任者 派遣スタッフから2度の産休・育休を経て、2021年から現職

「夢にも思わなかった」管理職のオファーを受けた理由

――皆さんのキャリアの転換点を教えてください。

相田 私はアルバイトとしてAIGに入りました。社員登用されてリスクコンサルティング業務に従事し、2016年に管理職に。2020年からは横浜支店長を務めています。ただ、実はもともと管理職を目指す意識はなかったんです。

最初に管理職のオファーをいただいたとき、昨日まで同じ立場で働いていた人たちをいきなりマネジメントすることに、とても戸惑い、自分には荷が重いんじゃないかと不安でした。ただ、組織としてフォロー体制も整っているし、私が失敗したくらいではびくともしないはず。ゴチャゴチャ考えずにやるだけやってみようとチャレンジすることにしました。

AIG相田氏
相田 彩子氏

重松 私は出産を機に一度退職しています。子育てが一段落ついた8年後に、アルバイトとして戻ってきたのですが、当時は自分が管理職になるとは夢にも思っていませんでした。実際、事務職から業務管理課長の話をもらったときは「絶対できないな」と断ろうとしたくらいです。営業店の支店長になったときも同じでした。一足先に支店長になっていた相田さんを「大変そう」とひとごとのように見ていたら、自分にも話が来てびっくりして慌てて相田さんに電話して相談したことを覚えています。

背中を押してくれたのは、当時の上司の一言です。営業経験がないのに営業店の支店長が務まるのかどうか不安だったのですが、「これまでに縛られず、自分なりの支店長像をつくればいい」とアドバイスをもらいました。それで、「数字が命という支店長にはなれないけれど、組織全体のコミュニケーションをケアできる支店長にはなれるかも」と勇気をもらいました。

AIG重松氏
重松 千恵氏

石井 AIGはマネジメント研修や女性管理職育成プログラムが充実していて心強かったです。ただ、トレーニングと実戦では違う部分もあります。私がオペレーション部門の企画部長になったのは、2018年にAIUと富士火災が統合した直後。新米部長が、2社のカルチャーの違いを超えて、みんなをまとめられるかどうかは非常に不安でしたし、実際にうまくいかずに悩んだ日も多くありました。

ただ、管理職になってよかったことも多々あります。いちばんは、自分の裁量が広がったこと。これまでは改善したいオペレーションがあっても、それが他部署の業務に関係していると簡単には動かせませんでした。しかし、今は自分が旗を振ってメンバーや他部署の人たちを巻き込みながら動けます。これは管理職の醍醐味かなと。

AIG石井氏
石井 泉氏

「女性だから」ではなく、多様な経験がAIGを強くする

――出産や育児を経験した方もいます。働きやすさはどうだったでしょう?

山下 私は2度の育休を経て損害サービスの管理職になりましたが、第1子のときはまだ育休を取る人が少なかった記憶があります。ただ、少なかったせいか逆にみんなに応援してもらえたかもしれません。今はいい意味で育休が当たり前になって、サポートの仕組みも定着しています。

AIGにおけるサポートの1つの特徴として、ERG(Employee Resource Group)があります。ERGは共通する関心や経験を持つ社員が協力し合うためのグループ。「Women & Allies ERG」や「Working Families ERG」といったグループに参加していると、同じような悩みを持つ社員と知り合えて、お互いに情報交換したり励まし合ったりできます。

AIG山下氏
山下 裕子氏

重松 ワーク・ライフ・バランスに対する社員の理解はまだ十分ではなく、そこはマネジメントが率先して変えていかなければいけないと考えています。家庭を優先せざるをえない時期があることを軽視する雰囲気を感じた人も少なくはないと思うんです。

実は今年、子どもが急病で手術を受けました。そのときはもちろん仕事より子どもが優先で、支店のメンバーに事情を話して数日休暇をもらったりリモート勤務をさせてもらったりと、ゆっくり子どもに付き添うことができました。みんな協力的でとてもありがたかったのですが、さらにうれしかったのはその後。ある営業社員が「実は親の介護で病院に行きたい。午前半休・午後在宅勤務にします」と言ってきてくれたんです。私が家庭の事情で休んだ様子を見て、おそらく「それでいいんだ」と感じてくれたのかなと。管理職自身がワーク・ライフ・バランスをうまく取ることで、メンバーの意識も変わってくれればいいですよね。

AIGのタペストリー

――女性の視点が業務に生かされたことがあれば教えてください。

相田 自分の中では、女性だからこそということが思い浮かばないんです。これまでのキャリアを振り返ると、自分の強みは女性であることではなく、さまざまな立場で仕事してきた経験だと思っています。アルバイトから始まって、クラークやリスクコンサルタントとしてさまざまな業務を経験してきましたが、それは最初から正社員として営業一筋でやってきた方とは違う価値のある経験です。

重松 わかります! 着眼点を持てるのは、女性だからではなく、「私ならでは」の経験があるからだと感じたことがあります。アルバイト時代に、ある書類を代理店さんに配布する仕事があったのですが、代理店さんからも「紙が多すぎる」と言われることもあって、「データで渡せばいいのに」とずっと不思議に思っていたんです。自分が業務管理課長になったとき、すかさず紙での配布中止を提案しました。

山下 AIGには、ジェンダーに限った話ではなく、さまざまな事情や背景を持った多様な人がいます。損害サービス部門(保険金支払いを担当する部門)にいると、この多様性がとても役立っています。損害サービスにはお客様との交渉業務があり、お客様の環境を想像しながらコミュニケーションすることが求められます。私たち自身に多様性があると、「このお客様は介護をされているから、この時間は連絡を控えようか」「お子さんがいらっしゃるから週末はお出かけかも」といった想像がしやすい。女性の感性が直接生きるというより、多様な人が同じ職場にいることが私たちの強みかなと。

「必ず誰かが見ていてくれる」から挑戦できるAIGの風土

――これからキャリアを築く女性社員に向けてメッセージをお願いします。

石井 自分一人で抱え込まず、周りの人や制度にどんどん頼ってほしいですね。私は出産後、仕事と育児の両立で煮詰まってしまったことがありました。しかし、あるとき先輩社員から「いつも仕事も家事も100%は難しい。必要なときには家事の手を抜くとか、そんなに頑張らなくていいのでは?」とアドバイスをもらってから心が楽になりました。世の中には便利なサービスがたくさんあるから、仕事と家庭のバランスはいつでも柔軟に変えながらやっていて、忙しいときは家事も効率重視ですがそれでいいのかなと。

部長になったばかりのときも人に助けられました。社内で何人かの方にメンターになってもらい、相談に乗ってもらっていました。幸いAIGには、勝手に「メンターになって」と頼んでも快く引き受けてくれる人ばかり。そこは恵まれていたかもしれません。

AIG女性管理職の集合写真

相田 自分は何をしたいのか。どのような働き方を目指すのか。それをしっかり考えたうえで目の前の仕事に取り組むといいと思います。私自身は管理職を目指してきたわけではないですが、チャンスがやってくればいつでもそれに乗っかる準備をしてきたつもりです。チャンスは天から降ってくるものではなく、準備をしてきた人の仕事ぶりを周りが認めるから巡ってくるもの。AIGは一人ひとりの仕事ぶりを必ず誰かが見ていて応援してくれる会社であり、そうしたカルチャーがあったからこそ私も引き上げてもらえました。今後は自分がみんなの頑張りを見守ってサポートする番。そのことを意識してマネジメントしていきたいですね。
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