AIGのリスクマネジメントサービスの実力 企業を取り巻く新しい3大リスクとは?
目に見えない、3つの新コーポレートリスク
社屋や社有車、生産設備、在庫といった有形資産に保険をかけておけば、万が一事故が起きても問題ないと考える経営者は少なくない。実際、これまでは従来型の損害保険で企業のリスクはおおよそカバーできていた。しかし、近年はデジタル社会の到来とともに、リスクも複雑化。新しいコーポレートリスクにさらされるようになった。
代表的なものはサイバーリスクだろう。例えば不正アクセスでデータが暗号化されて使えなくなり、復旧のための代金を要求されるケースが後を絶たない。そうなった場合、事業が継続できず、自社に経済的損失が直接発生するだけでなく、取引先に迷惑をかけて損害賠償を請求されるおそれもある。
AIG損害保険 (以下、AIG)執行役員兼チーフ・ディストリビューション・オフィサーの辻村健氏は、コーポレートリスクは「資本の逸失リスク」「事業運営のリスク」「経営戦略のリスク」の3つに分類できると指摘する。
「サイバー攻撃を原因とした事業中断による経済損失は、『資本の逸失リスク』の1つです。そのほか、『事業運営のリスク』としては業務上使用する顧客情報の漏洩などが考えられます。また、最近は従業員からのハラスメント訴訟や、不祥事発生時のレピュテーション低下など『経営戦略のリスク』も目立ちます」
火事や事故といった昔からある事象でも、目に見えない隠れたリスクに注目すべきだ。
「火事で工場が燃えたとしても、工場さえ建て直せばいいわけではない。経営者が気にしなくてはいけないのは、工場を再操業できるようになるまでの休業による売り上げ減少などに対する補償です。目に見えるものだけが守るべき資産ではありません」
先手先手でリスク把握。発生を未然に防ぐコンサルティング
社会の変化に合わせ、新しいチャンスとともに新しいリスクが生まれる。問題は、それをどのように把握して対策を打つか。辻村氏は、「とくに中堅・中小企業の場合、課題が多い」と言う。
「大企業には保険を担当する総務部、財務部などがあります。しかし、中小企業の多くはオーナーが経営の傍らで保険を見ています。日々さまざまな経営判断や実務に追われている中小企業オーナーが、リスクを把握して適切な対策を打つのは至難の業です」
そんな中小企業オーナーの心強い味方になるのがAIGだ。顧客の経営や事業に潜むリスクを洗い出し、適切な対策を提案するリスクマネジメントサービスを提供している。リスク対応の専門家を社内に多数擁し、日々発生するさまざまな事故に対応している損害サービス部門(保険金支払いを担当する部門)の知見を生かしながらコンサルティングを行っている。
「事故の発生確率と保険料のバランスを考えて、保険をかける必要はないとお話しするケースもあります。あくまでもお客様にとって適切なリスクマネジメントは何かを見極めて、コンサルティングしています」
実際、リスクマネジメントサービスで主眼を置いているのは、リスクが現実のものになることを未然に防ぐ対策だ。例えば社用車を保有する顧客なら、運転適性シミュレーターを活用したり、車にセンサーを積んで実際の運転データを取得したりする。その結果を見て運転指導をすればリスクを減らせる。
そのほか、工場で火事が起きやすい箇所を診断するサービスもある。実は同社の火災保険支払額ベースでみると、半分以上は電気系統。そこで赤外線サーモグラフィカメラを使って漏電や配線老朽化を検査し、危険箇所があれば早急な対応を促す。
「古くからあるリスクだけではありません。サイバーリスクは、お客様に設問に回答いただくことで、情報セキュリティ対策上の強みと弱みを洗い出し、改善に役立てていただける診断サービスも実施しています。事故を未然に防ぐことが重要であり、そのための知見を提供しています」
独自の資格を持つリスクの専門家。業界有数のプロ代理店ネットワーク
リスクマネジメントサービスを顧客接点の前線で担っているのが、AIGのプロ代理店である。AIGは専業で保険を取り扱う代理店の比率が7割超と、業界でも有数のネットワークを誇る。
量だけでなく質も高い。AIGは、独自のリスクコンサルティング資格である「ARC(AIG Risk Consulting)」を制度化。資格は3段階に分かれており、最上位のエグゼクティブリスクマネジャー(ERM)は、高度なリスクコンサルティング手法やニッチなリスクをインプットしたエキスパート。ERMになるには最短でも3年の実務と研修期間が必要。ARC資格取得者の中でも1割未満の人しかERMは取得できていない狭き門だ。
「中には資格を取得するためには時間も労力もかかるため簡単ではないと資格取得を敬遠するプロ代理店もいます。しかし、お客様と距離の近いプロ代理店こそリスクマネジメントのスキルを身に付けてほしい」
リスク対応先進国、米国の知見を活用。最先端の保険商品を拡充
テクノロジーの進化が加速する今、常に、新しいリスクに対応できるように保険商品のラインナップを拡充している。
中でも「CyberEdge」は、不正アクセスなどにより事業を中断した場合を含め、サイバー攻撃発生時のリスクを包括的に補償する。また、「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」は、株主代表訴訟や第三者訴訟の社会的な認知が進んできた今、必須の備えといえるだろう。
「AIGグループの本社は賠償大国・米国にあります。そこで顕在化したリスク対応ノウハウを生かし、いち早く日本でも商品化しています」
例えば、「事業賠償・費用総合保険(ALL STARs)」。従来の事業者向けの賠償責任保険は業種ごとに分かれており、海外賠償保険や生産物品質保険が別々だった。保険を細分化すると、どうしても抜け漏れが起きやすいし、事業形態や環境の変化に対応しづらい。そこで業種共通で国内賠償、海外賠償、生産物品質補償をシームレスでカバーし、その上に新しいリスクに対応するさまざまな特約を乗せる設計にした。例えば2023年3月には「アスベスト飛散事故補償特約」を新設。アスベストを含む建物の解体は2028年ごろがピークといわれており、これからとくに備えが必要となる。リスク対応という守りだけでなく、攻めの一手にもなりうるのが「業務災害総合保険(ハイパー任意労災)」だ。
「ハイパー任意労災には、病気を補償する特約もあります。従業員のケガだけでなくがんなどの病気までカバーすることで福利厚生制度の拡充につながります。人手不足の時代において手厚い福利厚生制度はお客様の採用活動のアピールポイントになるでしょう」
AIGが"攻め"の損害サービスをする理由
リスクマネジメントで事前に手を打ち、万が一に備えて保険に入っても、事故発生時に損害サービスを迅速に受けられなければ、備えた意味がない。AIGの損害サービスは1事故1担当者で対応している。例えば、社用車が人や物を巻き込む事故を起こしたとき、対人と対物で担当が分かれているとやり取りが煩雑になるが、担当が1人ならスムーズな対応を受けられる。
さらに「保険金の高額内払いサービス」も心強い。
「保険金のお支払いにはさまざまな確認が必要です。ただ、確認の間に資金繰りが悪化して事業継続が困難になったら元も子もありません。私たちは、火災や自然災害などの事故について、損害額の確定や保険金請求書類の提出完了前でも、当社が保険金支払い対象であると判断した後、最短1週間で損害見込額の最大50%までの保険金を一部内払いします。損害保険会社としては、かなり思い切ったチャレンジです」
損害サービス部門は、事故発生後に動くだけではない。実際に起きた事故の知見を商品開発にフィードバックしたり、代理店向けの勉強会に参加して事故原因を解説したりと、事故発生前にも顧客のリスクマネジメントに貢献している。
最後に辻村氏は顧客に向けての思いをこう語った。
「時代とともにリスクは変わります。数カ月後には、企業はまた新たなリスクにさらされているかもしれません。私たちはお客様を取り巻くリスクの把握、価値ある商品の提供、適切な保険金支払いの三位一体でお客様が新たな可能性を創造することをサポートします。それを軸に、引き続きお客様が安心して経営できるよう全力で取り組んでまいります」