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宗教と絡みあったソ連邦の「民族問題」を知る 佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿⑮

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  • 佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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アゼルバイジャン代表部のアガエフ氏がソ連政府の民族政策に不満を持つのは当然だと、筆者も思った。ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長の「北の民族問題」、すなわちリトアニア、ラトビア、エストニアの独立運動に対しては、対話による説得というのが基本方針だった。他方、ナゴルノ・カラバフ問題、ジョージア(グルジア)の独立運動、中央アジアのフェルガノ盆地でのキルギス人とウズベク人の民族衝突などの「南の民族問題」には力で抑え込むという方針を取った。

分断をもたらす民族主義を危惧

「アゼルバイジャン人民戦線についてどう思うか」と筆者は尋ねた。アゼルバイジャン人民戦線は、1988年秋にエストニア人民戦線の綱領をほぼまねてつくられた団体だ。「ペレストロイカを支持する」という建前を前面に掲げて、エストニアの人民戦線はソ連からの分離独立を狙った。アゼルバイジャン人民戦線は、ナゴルノ・カラバフ自治州の現状のようにアゼルバイジャン共和国の枠内にとどめるというのが基本要求だった。この点では、共和国共産党・政府の路線を後押しするものだった。

アガエフ氏は「難しい問題だ」と言って少し黙った後、こう続けた。

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