東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #経済学者が読み解く現代社会のリアル

オークション「開始価格」は入札者へのシグナルだ 買い手が多ければ、高く設定するメリット大

6分で読める 会員登録で読める
  • 土橋 俊寛 大東文化大学 経済学部教授

INDEX

(写真:AnnaStills/PIXTA)

気になるジャケットを鏡の前で合わせていると、販売員が言った。「こちら、この春夏の新作です」。さらに、表情に愁いを持たせてこう続ける。「たいへん人気のお品物でして、これが最後の1点となります」。つまり、このジャケットを手に入れる機会は今日が最後かもしれない。心臓の鼓動が少しだけ速まった。しかし、ちょっと待てよ。最後の1点というのは、はたして本当だろうか。「最後の1点」が実は倉庫にいくらでも並んでおり、ひと月も経てばセールで半額、ということもありうるのではないか。

「売れ行き好調」「在庫僅少」が事実ならば、売り手はこうしたポジティブな情報を前面に出して商品を売り込みたいところだ。しかし、買い手の目線で気になるのは情報の信憑性である。「今売れてます!」のステッカーを貼るのは簡単で、こうした宣伝文句は経済学の世界では「チープトーク」と呼ばれる。では、どうすれば、情報が本当だと消費者に信じてもらえるのか。経済学的にいえば、「情報伝達に適切なコストをかける」というのがその答えである。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象